プロなら避ける!?住んでから後悔する注文住宅で最悪の収納7選
注文住宅では自由に収納スペースの広さや位置を決めることができます。
まずこだわってしまうのが収納量です。
どれだけ多くのモノを収納できるか、詰め込めるかということではないでしょうか。
どんな収納がプロなら避けるの?
各場所の収納に関して、使い勝手が悪くなる収納は避けます。
私は18年間(2024年現在)注文住宅やリノベーションを中心に設計事務所を運営してきましたが、
収納設計に関しては、どんなものを収納するかなど使い方を想定しないと使い勝手のいい収納はできないと考えています。
今回は住んでから後悔につながる最悪の収納についてご紹介します。
この記事を読むと以下のことがわかります。
この記事でわかること
・これは避けたい最悪の収納
・各場所の収納の注意点
上記のことがわかります。
収納はゆとりがあれば多いに越したことはありませんが、
作り方が悪いとまったく役に立たなかったり、広くても整頓できなかったりしてストレスがたまってしまいます。
使い勝手の良い収納を設計して、常に家の中をすっきりと片付けておきましょう。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
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これは避けたい最悪の収納
これは避けたい最悪の収納は以下になります。
これは避けたい最悪の収納
・玄関収納
→1帖のシューズインクローゼット
・リビング収納
→奥行きのあるニッチ収納
→A4サイズの書類がしまえない収納
・キッチン収納
→吊戸棚
→床下収納
・パントリー
→奥行きのある収納
→固定された棚
・ファミリークローゼット
→生活動線上にないクローゼット
・小屋裏収納
→断熱性が低い小屋裏空間
→ハシゴの上り下り
・屋外収納
→ギリギリの高さや幅の屋外収納
玄関収納
最近ではシューズインクローゼットのように外ばきのまま入れるクローゼットを選ぶご家庭が増えています。
使い勝手の良さは広さと収納棚の位置、奥行きによって決まります。
1帖では靴以外のものは十分に収納できないと考えましょう↓
上の平面図を見て、実際に畳一枚分のところに立ってみるイメージをしてみましょう。
奥行き30cmの棚をこのようにつくると大人が2〜3歩しか移動できず、ベビーカーやゴルフバックなどを置くと棚にあるモノの出し入れが大変です。
また、奥行き30cmではコートなどの上着をかけるには足りないんですよね。
最低でも45cmは必要になります↓
それでもちょっとはみ出ます。
奥行き45cmのハンガーラックをつくって壁側にモノを置くと、大人1人が立てるくらいのスペースしかありません。
棚の左奥にあるものがとても取り出しにくくなります。
1帖の場合は、大人の靴で約20足分の収納+α程度の収納量と考えた方がよいでしょう。
シューズインクローゼットにするなら、人が立つスペース分とし60cm×90cmは必要になります。
そのスペースがないと押入れのようになってしまいます。
だったら、シューズボックス(=靴箱)にした方がいいでしょう。
靴以外のモノも収納できるシューズインクローゼットにするなら、最低でも1.5〜2帖は確保したいところです↓
その場合は上の平面図のように横長に広くすると左側のものがかなり出し入れしにくくなるので↓
上の図のように真ん中に通路を設けるような形にした方が動きやすく、出し入れもしやすくなります。
同じ広さでも形や棚の配置によって使い勝手が変わるので、図面上で確認するだけでなく、同じ広さの枠内に立ってみることをおすすめします。
リビング収納
リビング内に小物や本などの収納を作りつける場合、
棚の奥行きや引き出しの深さまでしっかり計算しておかないと役に立たないスペースになってしまいます。
リビングではシェルフやニッチなどの見せる収納と扉のある棚や、引き出しなどの隠す収納があります。
見せる収納は、あまり奥行きをとると何でもポイっと置けて乱雑になる可能性が高いです。
かっこよく見せるためには、ちょっとしたインテリアや小物程度がのるくらいのサイズにした方がいいです。
隠す収納は、扉を閉めてしまえば見えなくなるので、奥行きがあった方がいいでしょう。
最低でもA4サイズのものを縦に置いて扉が閉まるくらいがいいと思います。
日常的に使用する書類や封筒はA4サイズが結構多いんですよね。
奥行きが30cmあれば安心ですが、内法寸法で扉がゆとりをもって閉まるように計算しましょう。
キッチン収納
キッチン収納は吊戸棚や床下収納が必要かどうか、キッチンの広さや収納量によって変わります。
少し前まで、ほとんどのキッチンにはこの2つの収納があったように思います。
現在も空間を有効利用するためには良い収納方法ともいえますが、最近ではパントリーが取り入れられるようになり、キッチン収納のトレンドになっています。
吊戸棚には使用頻度の少ない調理器具や食器、床下収納には買い置きの醤油や油、缶詰、非常食などが収納されていて、
出し入れしにくくてあまり開閉をしないというご家庭も多いです。
カップボードやパントリーなどで収納量が足りるようであれば、吊戸棚を省くメリットはあります。
頭上がすっきりして手元も明るくなります。
また、決して安いものではないので、予算を抑えることにもつながります。
広いウォークイン型のパントリーが難しいなら、出し入れしやすい位置に壁付けにしても収納を設けてもいいですね。
床下収納は点検口としての役割もあるので、どこかにつけておかなければならないのですが、
キッチンの床は油や食品のカスが床に落ちやすく、ふたのまわりの溝にゴミが入り掃除が大変になってしまいます。
できれば、洗面所に設置して掃除用品などを収納しておくという方法がおすすめです。
パントリー
パントリーがある暮らしは初めてというご家庭は多いと思います。
使ったことがないスペースだけに作り方を間違えて後悔する可能性は高いです。
パントリーの注意点としては、
・棚には扉をつけない
・棚の奥行きは深くしない
・棚の高さは固定しない
◾️棚には扉をつけない
調理しながら調味料や食品などを出し入れするたびに扉を開閉するのはとても面倒です。
◾️棚の奥行きは深くしない
奥行きがありすぎると収納量は増えますが、奥のモノを取り出すのが大変になってしまいます。
◾️棚の高さは固定しない
棚は固定されていると置きたいところに入らないものがあって不便です。
パントリーは広めのウォークイン型というイメージもありますが、1帖程度の広さがあれば3〜4人家族の食品保存のスペースとしては十分です。
例えば、キッチンに隣接したスペースに棚を設置するだけでも便利に使用できます。
キッチンと往復しながら、調理ができるよう扉や仕切りを設けず、棚からサッと取って使い終わったらポンと置けるそんな気軽さのある収納もいいでしょう。
2〜3帖ほどの広さにして、冷凍食品が買い置きできるように冷凍庫を置いたり、
リビング内に出しておきたくないモノを収納したりするのも良いでしょう。
設計士さんは一般的に良いとされる仕様をおすすめしてくれるのですが、
そのままOKせずに普段の生活と合わせてシミュレーションしてみましょう。
ファミリークローゼット
家族みんなで共有するウォークインクローゼットですが、使い勝手が悪くて後悔しがちなのは間取りです。
家のどの位置にあるかということが重要になります。
洗面脱衣所、ランドリールームに隣接して作りたかったけれど、
1階には十分なスペースが取れずに2階につくることになってしまったというケースもあります。
そうなると、収納するためにわざわざ2階へ行くことになったり、必要なものがある時にもわざわざ2階へ行くという手間がかかります。
それが苦にならなければよいのですが、2階につくったせいで1階が片付かなくなるようではムダになってしまいます。
ファミリークローゼットは、玄関から生活空間への通路になるところにあるのが良いです。
帰宅後は他の部屋に持ち込むものが減って出かける時にも身支度ができます。
また、洗濯物もたたんでそのまま収納できれば、各部屋に振り分ける必要もありません。
そのような位置に広めのファミリークローゼットを作れないのであれば、洗面脱衣所を広めにして、タオルや下着、靴下などを収納して、
玄関ホールや2階のホールに上着やバッグが掛けられるような収納をつくるなど工夫してみましょう。
収納が分散したとしても居室への「通り道」にあることが重要です。
小屋裏収納
小屋裏収納は、天井と屋根の間につくる収納のことです。
ハシゴで上ことが多いのですが、階段になっている場合もあります。
小屋裏収納だけでなく、お子さんの遊び場や大人の隠れ家としても活用したいと考える方も少なくないようですが、
夏の暑さや冬の寒さを防ぐためには屋根断熱を施さなければなりません。
また、換気できるようにしたり、照明やエアコン、コンセントも必要になります。
そうなると、施工費用は高額になり100万円以上かかる可能性もあります。
それらの工事をおこなわず、収納だけで使用するとしてもやはり暑すぎたり寒すぎたりするところに入るのは億劫になり長居はできません。
小屋裏収納にして、いらないもの、いつか使うと思うものを詰め込むだけになっているというご家庭も多いです。
アウトドア用品やクリスマスツリーなどのように年に数回しか使わない大きなものを収納するには良いと思います。
そのような場合は、階段で上れる小屋裏にしてもらいましょう。
ハシゴ自体を下ろすだけでも大変で、室温にも影響します。
その上、大きなモノはひとりで上げられないこともあるので、だんだんと使わなくなってしまうんですよね。
小屋裏収納を有効活用したいなら、それなりに設備を整えることをおすすめします。
屋外収納
物置はガーデニング用品や車用品などを家の中に持ち込まず、収納できて便利ですよね。
最近ではネットショッピングで安価な物置を購入してDIYで設置するご家庭も増えていますが、
初めて物置を購入する場合は注意が必要です。
カーポートや庇の下に設置する際に、ギリギリの高さ、幅の商品を選んだら入らなかったなんてケースもあります。
物置を設置する際は周囲に20cmくらいのゆとりが必要になります。
物置の下にブロックを置くことで最低でも10cmは高くなりますが、その高さについては物置の寸法に記されていません。
土の上にそのまま置くと沈み込んで水平が保てなかったり、通気性が悪くなったりして劣化がはやくなります。
ブロックを置いてしっかり水平にしてアンカープレートで固定しておかないと、
強風時に倒れる可能性が高くなって危険なので、業者さんに依頼するのが一番です。
大きすぎて入らなかった物置は組み立ててから返品することはできず、粗大ゴミになってしまいます。
大きな物置を設置する場合は、必ず四方に20cm以上のゆとりがあることを確認してから購入しましょう。
まとめ
今回は収納スペースで後悔したくない人やどんな収納が最悪なのか知りたい人に対して、
住んでから後悔する注文住宅で最悪の収納を7つご紹介してきました。
まとめると以下になります。
これは避けたい最悪の収納
・玄関収納
→1帖のシューズインクローゼット
・リビング収納
→奥行きのあるニッチ収納
→A4サイズの書類がしまえない収納
・キッチン収納
→吊戸棚
→床下収納
・パントリー
→奥行きのある収納
→固定された棚
・ファミリークローゼット
→生活動線上にないクローゼット
・小屋裏収納
→断熱性が低い小屋裏空間
→ハシゴの上り下り
・屋外収納
→ギリギリの高さや幅の屋外収納
収納はゆとりがあれば多いに越したことはありませんが、
作り方が悪いとまったく役に立たなかったり、広くても整頓できなかったりしてストレスがたまってしまいます。
使い勝手の良い収納を設計して、常に家の中をすっきりと片付けておきましょう。
この記事が少しでもこれから注文住宅を考える人のお役に立てれば幸いです。
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