注文住宅で必要な設計的な配慮10選と設計事務所が施主から聞くべきこと
注文住宅は設計的な配慮がなければただの住宅になってしまいます。
せっかく注文住宅を建てるのであれば、しっかりと要望を設計事務所に伝えて自分の生活スタイルにあった住宅を実現しましょう。
注文住宅の設計的な配慮ってどういうこと?
例えば、そこで暮らす人に必要なスペースを間取りで確保したり、家事動線を効率的にするための各部屋の配置などたくさんの配慮があります。
私は18年間(2024年現在)注文住宅やリノベーションを中心に設計事務所を運営してきましたが、
設計事務所として注文住宅の設計的な配慮はその住宅を特徴づけるためにとても重要なポイントだと考えています。
今回は注文住宅で必要な設計的な配慮と設計事務所が施主から聞くべきことをご紹介します。
この記事を読むと以下のことがわかります。
この記事でわかること
・注文住宅で必要な設計的な配慮
・設計事務所が施主から聞くべきこと
上記のことがわかります。
どれも自分の暮らしやライフスタイルに合った注文住宅を建てるために重要なポイントになります。
設計事務所の注文住宅では当たり前のことなのですが、
工務店やハウスメーカーで注文住宅を建てる際は、ご紹介する設計的な配慮について施主自身がしっかりとした考えをもっておきましょう。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
設計事務所のブログを始めて2年目で月間25000PVを達成!
住宅に関する悩みを解決すべく、ブログやTwitterで情報発信しています。
「いいね!」や「フォロー」していただけるとうれしいです。ヨロシク(b・ω・d)デス♪
それからコメント欄はこれまで皆さんが経験してきたことを発信する場として使っていただければ幸いです。
役立つ情報をみんなで共有できるような書き込みは大歓迎です。
目次
注文住宅で必要な設計的な配慮10選
注文住宅で必要な設計的な配慮は以下の10こになります。
注文住宅で必要な設計的な配慮
①暮らす人のライフスタイルに合わせる
②効率的な家事動線
③可変的な間取りと構造
④暮らす人に合わせた寸法設計
⑤片付けができる収納力
⑥自然光の利用や快適な温熱環境
⑦周囲の環境に配慮して配置
⑧建物の大きさと予算
⑨長期的な視点での暮らしの変化
⑩長期的なメンテナンスコスト
①暮らす人のライフスタイルに合わせる
注文住宅で必要な設計的な配慮は、暮らす人のライフスタイルに合わせることです。
暮らす人のライフスタイルに合わせての設計的な配慮が、住まいの快適さや満足度に大きく影響するからです。
暮らす人のライフスタイルってどんなこと?
例えば、家族構成、将来のライフプラン、職業、特定の趣味などのことです。
将来的な視点から考えて、将来の家族構成の変化やライフスタイルの変化に対応できるような間取りや設備を選ぶことも重要です。
また、家族の成長に合わせて子供部屋や学習スペースなどの確保を考えることも重要です。
注文住宅を建てる際には、じっくりと自分自身や家族のライフスタイルを考え、それに合った間取りや設備を選ぶことが大切です。
②効率的な家事動線
注文住宅で必要な設計的な配慮は、効率的な家事動線を考えることです。
効率的な家事動線を実現すると作業の流れや移動距離を最小限に抑えることができるからです。
どうやって家事動線を考えればいいの?
例えば、料理の準備から片付けまでの一連の流れをスムーズに行えるように、キッチン、調理器具、食材の収納スペースを近くに配置しましょう。
また、洗濯物を取り込んで畳む場所や、使い終わったものを片付ける場所も、使いやすい位置に設けることが重要です。
使い勝手の良い収納スペースを計画し、必要なものがすぐに取り出せるようにしましょう。
効率的な家事動線によって、料理や洗濯、片付けなどの家事作業が円滑に行え、時間と労力を節約することができます。
家事動線の効率的な配慮は、忙しい現代人にとって大きな利便性と快適さをもたらします。
家族全員がストレスなく家事を行える環境を作り出すために、家事動線の設計にしっかりと取り組みましょう。
③可変的な間取りと構造
注文住宅で必要な設計的な配慮は、可変的な間取りと構造を考えることです。
この配慮によって、将来的なライフスタイルや家族構成の変化に柔軟に対応することができるからです。
将来的に家族が増えたり、趣味や仕事のスペースが必要になったりする場合でも、柔軟に間取りを変更することができます。
可変的な間取りや構造ってどうすればいいの?
例えば、間仕切り壁を動かせるように筋交を外側に配置して間仕切り壁に筋交を入れないことや、
柱と梁を大きな空間にできるように軸組を考えたりすることで必要なスペースを確保することができます。
柔軟な構造設計によって、住まいの使い方に変化が生じた際にもスムーズに対応することができます。
将来を見据えた設計によって、住まいが長く快適に使われることができます。
自分らしい暮らしを実現するために、可変的な間取りや構造の配慮を注文住宅の設計に取り入れてみましょう。
④暮らす人に合わせた寸法設計
注文住宅で必要な設計的な配慮は、暮らす人に合わせた寸法設計をすることです。
身体的な特徴や使い勝手に合わせて、階段や収納などの寸法を適切に設計しましょう。
バリアフリーや子どもに優しい住宅になり、快適で暮らしやすくなるからです。
寸法設計ってどこに気をつければいいの?
例えば、高齢者や身体障害者にとって利用しやすい高さや幅の階段や手すりを設けることが重要です。
また、子どもにとって安全で使いやすい高さや収納スペースの配置も考慮しましょう。
バリアフリーや子どもに優しい設計は、家族全員が快適に過ごすための重要な要素です。
段差の解消や滑りにくい床材の使用、安全性を考慮した家具の配置など、細部まで配慮することが必要です。
さらに、手すりや手が届きやすいスイッチの配置など、利便性や安全性を向上させるための工夫も行いましょう。
注文住宅では、個々のニーズやライフスタイルに合わせた設計が可能であり、快適な生活をサポートするための配慮が重要となります。
⑤片付けができる収納力
注文住宅で必要な設計的な配慮は、片付けができる収納力を考えることです。
住宅内の収納スペースは、快適な生活に欠かせないからです。
使いやすく整理しやすい収納スペースを設計しましょう。
片付けができる収納ってどこが違うの?
自分の持っている洋服の種類によって引き出しのサイズを考えたり、使う食器の枚数やサイズによって棚の位置を考えたりすることです。
また、使わないものや必要のないものを見極めて徹底的に整理を行うことも必要になります。
不要な物を取り除くことで、スペースを有効活用できるからです。
さらに、収納スペースのアイテムの出し入れをスムーズに行えるように工夫しましょう。
引き出しや仕切り、ラベルなどを活用して、整理整頓を簡単に行える環境を作りましょう。
収納スペースの設計は、住宅内の使い勝手や快適性に大きく影響を与えます。
暮らしやすさを追求するために、収納スペースの設計に時間をかけて考えましょう。
⑥自然光の利用や快適な温熱環境
注文住宅で必要な設計的な配慮は、自然光の利用や快適な温熱環境を考えることです。
自然光の利用や快適な温熱環境を実現できればエネルギー効率が良くなり、省エネルギーな住まいが実現できるからです。
そのほかに配慮することってなに?
日照や風通しの良さ、気密断熱性能などが挙げられます。
そのためには、適切な窓の配置やサッシ、ガラスの選定が重要なポイントとなります。
快適な温熱環境を確保するためには、季節や気候に合わせた調節が可能な設備やシステムの導入も検討しましょう。
例えば、自然光の有効活用や、庇、断熱性の高い建材の使用などが挙げられます。
これらの設計的な配慮によって、年間を通じて快適な温度や湿度を維持することができ、快適な室内環境を実現することができます。
⑦周囲の環境に配慮して配置
注文住宅で必要な設計的な配慮は、周囲の環境に配慮して配置を考えることです。
特に住宅地など隣家との距離が近い場合にはプライバシーや騒音などに配慮する必要があるからです。
プライバシーの確保や騒音をどうやって防げばいいの?
一番手っ取り早いのは隣家との距離を取ることです。
しかしながら、住宅地の場合は敷地が狭くてなかなか難しい場合もあります。
そんな時は、隣家の間取りを考慮して窓の位置を考えることも効果的です。
隣家のトイレや浴室に近い場所にはリビングやダイニングを避けたり、
隣家の2階のベランダからリビングが丸見えにならないような開口部にする必要があります。
また、周囲の騒音を遮断するために断熱材もセルロースファイバーやロックウールにするなども効果的です。
敷地の形状や周囲の環境に配慮した配置と設計は、住まいの快適性や美観に大きな影響を与えます。
丁寧な検討とプランニングを行い、理想的な住環境を実現しましょう。
⑧建物の大きさと予算
注文住宅で必要な設計的な配慮は、建物の大きさと予算を考えることです。
予算内におさめるためには建物の大きさはとても重要になるからです。
無駄なスペースを省き、必要な機能や快適さを最大限に確保するバランスを考えましょう。
建物の大きさはどうやって決めればいいの?
建物の大きさは、家族の人数や生活スタイルに合わせて決定されます。
一人暮らしや小さな家族の場合は、コンパクトなサイズで充分な空間を確保することができるかもしれません。
一方、大家族や将来の拡張を見越したい場合は、少し余裕のある広さを考えることが重要です。
建物の大きさは、住まいの快適さや機能性に直結します。
十分な収納スペースやくつろぎの空間を確保するためにも、適切なサイズを選ぶことが必要です。
また、予算とのバランスも重要なポイントです。
予算内で最適な大きさを見つけることで、建物の品質や設備にも余裕を持たせることができます。
無理なく予算に合わせた建物の大きさを選ぶことで、将来的な経済的な負担を軽減することもできます。
快適でバランスの取れた住まいを実現するために、建物のサイズ選びには慎重な検討が必要です。
⑨長期的な視点での暮らしの変化
注文住宅で必要な設計的な配慮は、長期的な視点での暮らしの変化を考えることです。
家族構成の変化による間取りの変更は将来的なリノベーション費用に影響してくるからです。
どうすれば将来的なリノベーション費用を抑えられるの?
筋交などの構造体を外周部に配置することや柱と梁の軸組構造に柔軟性を持たせたりすることです。
また、将来の変化に備えるためには、建物の配置にも余裕を持たせることが必要です。
例えば、将来的に増築が必要になった場合に、その余地があると便利です。
将来の変化に対応できる柔軟な設計と余裕のある敷地計画は、注文住宅を選ぶ際に重要なポイントです。
自分らしい暮らしを実現するために、長期的な視点で設計の配慮を行いましょう。
⑩長期的なメンテナンスコスト
注文住宅で必要な設計的な配慮は、長期的なメンテナンスコストを考えることです。
耐久性や耐震性、メンテナンスのしやすさなどを考慮した建材や設計を選び、長期的なメンテナンスコストを抑えることができるからです。
メンテナンスコストを抑えるにはどうすればいいの?
屋根や外壁に使う材料を耐用年数の長い素材を選ぶことが必要になります。
例えば、屋根材だとガルバリウム鋼板よりも瓦にするこで、初期費用は高くなりますが半永久的な耐用年数になります。
耐久性の高い建材や設備を選ぶことで、修繕や交換の頻度を減らし、メンテナンスコストを削減することができます。
定期的な点検や清掃、修繕が容易に行えるような設計や素材を選ぶことで、メンテナンス作業の手間や費用を削減することができます。
経済的な面だけでなく、住まいの安全性や快適性を確保するためにも、メンテナンスコストを見極めた上での選択が重要です。
設計事務所が施主から聞くべきこと
設計事務所が施主から聞くべきことは以下になります。
設計事務所が施主から聞くべきこと
・朝起きてからのルーティン
・夜寝るまでのルーティン
・普段行っている家事の仕方
・今の生活で不便に感じていること
・特定の趣味やライフスタイル
朝起きてからのルーティン
設計事務所が施主から聞くべきことは、朝起きてからのルーティンです。
朝起きてからのルーティンを設計に反映することで、朝起きてから仕事に出かけるまでの一連の作業をスムーズに行えるようになるからです。
具体的にどんなことを聞けばいいの?
例えば、朝起きたらカーテンを開けて日差しを取り込みたいとか、
朝早く起きてお子さんのお弁当を作るので他の家族が起きないように洗面所を寝室から離したいなど…
朝起きてからの家族の行動を具体的に聞きましょう。
朝の時間帯は一日の快適なスタートを切る重要な時間であり、快適な注文住宅を実現する上でも設計的な配慮が必要です。
このような情報を設計事務所と共有することで、朝の活動をスムーズに進めるための環境創りに役立ちます。
夜寝るまでのルーティン
設計事務所が施主から聞くべきことは、夜寝るまでのルーティンです。
夜のルーティンも理想の注文住宅を設計する上でとても重要です。
夜寝るまでの時間帯は、くつろぎやリフレッシュ、そして休息するための大切な時間だからです。
具体的にどんなことを聞けばいいの?
例えば、風呂上がりに柔軟体操をしてからベットに入るとか、寝る前に布団に入りながら読書をするなど…
寝室の間取りにある程度の広さが必要になったり、枕元が明るくなるような照明が欲しくなったりと設計的な配慮が必要になります。
また、夜寝るまでのリラックスできるスペースとしてリビングの照明を演出することもできます。
リビングでくつろげれば、日常生活のストレスから解放され、健康な睡眠を促進することができます。
普段行っている家事の仕方
設計事務所が施主から聞くべきことは、普段行っている家事の仕方です。
家族によって家事の仕方は違いがあるので、どのように家事を行なっているのかを聞いておきましょう。
具体的にどんなことを聞けばいいの?
洗濯物を洗濯して干して畳むまでの一連の流れや、
買い物から帰ってきて食材を収納、冷蔵庫から食材を取り出して調理し、料理を提供、片付けるまでの家事の一連の流れなど…
家事動線やキッチンの使い勝手、洗濯物の取り扱いなど、普段行っている家事の仕方を聞くことで、効率的な生活をサポートする設計を実現できます。
この情報を設計事務所と共有することで、我々の生活に合った効率的な家を創り上げることができ、
日々の生活をよりスムーズにし、快適さを追求する手助けとなります。
今の生活で不便に感じていること
設計事務所が施主から聞くべきことは、今の生活で不便に感じていることです。
現在の住まいで不便に感じていることを率直に設計事務所と共有しましょう。
具体的にどんなことを聞けばいいの?
例えば、物が多くて片付かない不満や洗濯物を干したり畳んだりするスペースが足りなかったり、
朝にトイレや洗面台が混雑してしまうなどが挙げられます。
物が多くて片付かない場合は収納量をチェックして適切な大きさの収納を作る必要があったり、
トイレや洗面台を増設する必要性が出てくるかもしれません。
また、間取りが使いにくいために生じる日常のストレスなども考えられます。
これらの問題点を聞くことで、より快適で使い勝手の良い新しい住まいを共に創り上げるための重要な一歩を踏み出すことができます。
特定の趣味やライフスタイル
設計事務所が施主から聞くべきことは、特定の趣味やライフスタイルです。
家族が楽しむための趣味やライフスタイルを具体的に聞きましょう。
具体的にどんなことを聞けばいいの?
例えば、フィギュアを集めるのが趣味の場合はショーケースが必要になったり、
プラモデルが趣味の場合は換気のできる窓の近くの作業スペースが必要だったり、
バイクを自分でカスタムしたり、日曜大工が趣味の場合はガレージを作った方が良かったりします。
注文住宅は家族のライフスタイルを反映させた特別な場所です。
趣味やライフスタイルをしっかりと設計に反映させて、より満足度の高い暮らしを実現しましょう。
まとめ
今回は注文住宅の設計的な配慮について知りたい人や設計事務所が施主から聞くべきことを知りたい人に対して、
注文住宅で必要な設計的な配慮と設計事務所が施主から聞くべきことをご紹介してきました。
まとめると以下になります。
注文住宅で必要な設計的な配慮
①暮らす人のライフスタイルに合わせる
②効率的な家事動線
③可変的な間取りと構造
④暮らす人に合わせた寸法設計
⑤片付けができる収納力
⑥自然光の利用や快適な温熱環境
⑦周囲の環境に配慮して配置
⑧建物の大きさと予算
⑨長期的な視点での暮らしの変化
⑩長期的なメンテナンスコスト
設計事務所が施主から聞くべきこと
・朝起きてからのルーティン
・夜寝るまでのルーティン
・普段行っている家事の仕方
・今の生活で不便に感じていること
・特定の趣味やライフスタイル
どれも自分の暮らしやライフスタイルに合った注文住宅を建てるために重要なポイントになります。
設計事務所の注文住宅では当たり前のことなのですが、
工務店やハウスメーカーで注文住宅を建てる際は、ご紹介する設計的な配慮について施主自身がしっかりとした考えをもっておきましょう。
この記事が少しでも理想の注文住宅を実現したい人のお役に立てれば幸いです。
この記事が役に立った、面白かったという方はコメントしてくださいね。
また、FacebookやTwitterでみなさんのお役にたてる情報発信しています!
「いいね!」や「フォロー」していただけるとうれしいです。ヨロシク(b・ω・d)デス♪
アーキトリック一級建築士事務所