必ず確認しよう!欠陥住宅でよく見る特徴10選を一級建築士が解説
最近、欠陥住宅を買いたくないのでどのようなチェックをしたらいいですか?という問い合わせが多くありました。
欠陥住宅って定義はないし、職人さんや建築のプロじゃないとどこまでが普通で、どこからが欠陥なのか判断が難しいです。
どうやって欠陥住宅をチェックすればいいの?
まずは欠陥住宅でよく見る特徴を知ることから始めましょう。
私は18年間(2024年現在)注文住宅やリノベーションを中心に設計事務所を運営してきましたが、
設計事務所に工事監理をお願いしないと、素人が欠陥住宅を見抜くのは難しいと感じています。
今回は欠陥住宅かどうかを判断するために欠陥住宅でよく見る特徴を一級建築士の観点から解説したいと思います。
この記事を読むと以下のことがわかります。
この記事でわかること
・欠陥住宅でよく見る特徴10選
・欠陥住宅をチェックする方法
上記のことがわかります。
欠陥住宅を見極めるには、施工要領をしっかりと理解した上で工事現場でのチェックが必要になります。
工事現場をチェックするにしても、時間が取れない人がほとんどだと思います。
自分ではわからないことがあったり不安に思ったら、
自分の代わりにしっかりとプロの目で工事の施工状況をチェックしてくれる設計事務所に工事監理を依頼しましょう。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
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目次
欠陥住宅でよく見る特徴10選
欠陥住宅でよく見る特徴は以下の10こになります。
欠陥住宅でよく見る特徴10選
①配管が構造体を貫通している
②基礎の鉄筋が露出している
③補強金物が取り付けられていない
④耐力面材の釘固定間隔が広すぎる
⑤地盤沈下で建物が傾いている
⑥防水シートの施工不良
⑦屋根が剥がれる
⑧基礎のひび割れ
⑨外壁のひび割れ、剥がれ
⑩外壁サイディングの釘打ち不良
配管が構造体を貫通している
構造体とは簡単にいうと柱や梁などの家を支える骨組みのことです。
この構造体の良し悪しは耐震性能に直結します。
そのため、配管などを通すために構造体を切り欠いてしまうと建物の強度に大きな影響を与えてしまいます。
そして、その時点では問題がなくても、エアコン設置を外部業者に依頼したら穴を開けるときにうっかり構造体の梁を貫通してしまったというケースも少なくありません。
なぜこのようなことが起こるかというと、外部業者の知識が不足していたり、確認が甘かったりするからです。
もちろんしっかりと施工してくれる業者の方が多いのですが、
エアコンの設置を外部業者に依頼する際は設計図を見せたり、建築時に穴あけ位置に印をつけてもらうなどの対策をしておくと安心です。
基礎の鉄筋が露出している
現在の住宅の基礎は鉄筋とコンクリートで作られています。
鉄は空気に触れると錆びてしまう性質がありますが、基礎で使用されている鉄筋はコンクリートに覆われているため、
正しく施工されていれば通常空気に触れることはありません。
しかし、施工不良などによって鉄筋が露出してしまうと錆びて腐食する危険性が高まります。
鉄筋が腐食してしまうと大きな地震に耐えるのは難しいです。
基礎コンクリートの打設が終わったら鉄筋の露出がないか確認しましょう。
補強金物が取り付けられていない
補強金物とは木材の接合部に取り付ける金物のことで、建物の強度を確保するために必要不可欠な部品です。
こんな小さな金属がそんなに大事なの?と思われるかもしれませんが、補強金物は家を建てる上で重要な役割を担っています。
しかし、中にはその金物の重要性を認識していない業者もいて、補強金物が適切に取り付けられていない場合があります。
また、間違った金物を取り付けていたり、取り付け忘れの箇所もあったりして、欠陥住宅が生まれてしまいます。
補強金物の有無は工事が進むと確認できなくなってしまうので、石膏ボードを貼る前に必ず確認するようにしましょう。
耐力面材の釘固定間隔が広すぎる
耐力面材とは構造体を面で支える板状の部材のことです。
耐震性能を上げる上で重要な役割を果たすために、耐力面材を固定する釘の間隔は、施工要領に細かく定められています。
この規定よりも釘固定間隔が広くなると耐力面材の強度が正しく発揮されなくなってしまいます。
釘固定間隔は面材の厚さによっても変わってきます。
施工要領で釘固定間隔を確認して現場をチェックしましょう。
地盤沈下で建物が傾いている
軟弱地盤の上に家を建てる場合は地盤改良をしなければなりません。
この地盤改良が適切に行われていないと地盤沈下が起きて建物が傾いてしまいます。
現在は、地盤沈下による傾きが見られる新築住宅の数は減少しました。
しかし、中古住宅を購入する際は要注意です。
ビー玉を転がしても問題がある傾きなのかは判断が難しいため、中古住宅は購入前のホームインスペクションがおすすめです。
防水シートの施工不良
新築住宅の雨漏りの原因で多いのが、屋根や外壁の防水シートの施工不良です。
入居当初は気づかず何年も経ってから雨漏りして、ようやく施工不良に気づくこともあります。
陸屋根や片流れ屋根は、形状的に元々雨漏りしやすいため、特に注意が必要です。
とはいえ、屋根の上を自分で確認するのはちょっと難しいですよね。
もし、施工に不安があるのならプロが隅々までチェックしてくれる、設計事務所の工事監理を検討しましょう。
屋根が剥がれる
国土交通省の発表によると戸建住宅に関する消費者電話相談で多い不具合は、外壁や屋根の剥がれが3位に挙げられています。
なぜ屋根が剥がれるのかというと、屋根の施工は特に高い技術が求められる場所だからです。
そのため、施工者の技術が未熟だと施工後すぐに屋根が剥がれてしまうことがあります。
また、屋根は施主の目が届きにくい場所であるため、手を抜いてしまう残念な業者も存在します。
こちらも自分での確認が難しいため、不安があれば先ほどの項目でお勧めした、設計事務所の工事監理を検討しましょう。
基礎のひび割れ
基礎のひび割れは幅が0.3mm未満の比較的軽微なものをヘアークラックと呼びます。
コンクリートは乾燥すると収縮する性質があるため、ヘアークラックが入ることは実は珍しくありません。
しかし、大きなひび割れになると割れた場所から雨水が侵入して内部の鉄筋を腐食させてしまうリスクが高くなります。
鉄筋が腐食してしまうと耐震性能が落ちてしまうので、新築住宅では0.3mm以上のクラックを見つけたら早めに補修してもらいましょう。
とはいえ、市販の定規を当ててみてもひび割れの幅が0.3mm以上あるかどうかを測ることは難しいです。
もし気になるひび割れを見つけた場合はクラックスケールを購入すると、より正確にひび割れの幅を計測することができます。
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クラックスケールはAmazonで500円ちょっとで購入可能なので、一つ持っておくと経年劣化でひび割れが発生した際にも重宝します。
外壁のひび割れ、剥がれ
塗装したばかりなのに外壁がひび割れたり、剥がれたりという場合は、
塗装の乾燥不足や塗料の選択ミスなどの施工不良が原因の可能性があります。
ひび割れや剥がれをそのままにしておくとそこから雨水が侵入して雨漏りすることがあるため、
もしこのような場所を見つけたらすぐに現場監督に連絡するようにしましょう。
外壁サイディングの釘打ち不良
外壁サイディングを釘打ちで固定する場合は適切な場所に釘打ちをしないとサイディングが割れてしまい雨漏りの原因になってしまいます。
サイディングの釘打ちでは以下の点に注意しましょう。
・釘打ち場所が端に近すぎる
・釘の頭が出ていたり、逆にめり込んでしまっている
・そもそも釘打ちがされていない
このような場所がないか、外壁が完成したらぐるっと回って確認するようにしましょう。
欠陥住宅かも!と思った時の対処法
もし住宅に欠陥があった場合は施工業者に対して、契約不適合責任を問うことができます。
ただし、再施工となると時間も費用もかかるため、相手がスムーズに施工不良を認めてくれるとは限らないです。
うちは大手にお願いしているから大丈夫と思っている方も多いかもしれませんが、
たとえ大手ハウスメーカーであっても、重大な欠陥があったけど認めてもらえずに揉めたという事例は存在します。
そのため、欠陥を発見してしまった際は言い逃れできないように証拠を残しておくことが大切になります。
では、どのようなものが証拠になるのかというと写真です。
最悪、裁判に発展してしまったとしても、写真は証拠として使えるため、
建築中はこまめに足を運び新築記念も兼ねて、あらゆる角度から写真を撮っておくことをおすすめします。
家が完成すると基礎や壁の内側などはよっぽどのことがない限り見ることができないですよね。
そのため、欠陥の有無に関わらず完成までの経過を写真に残しておくと良い思い出になります。
また、現場に行く際は現場の職人さんたちとコミュニケーションをとり、疑問を感じたら積極的に質問するとその場で不安を解消することができます。
その際は、差し入れを持っていくとより丁寧な仕事をしてもらえるかもしれませんね。
まとめ
今回は欠陥住宅の特徴を知りたい人や欠陥住宅かどうかをチェックする方法を知りたい人に対して、
欠陥住宅かどうかを判断するために欠陥住宅でよく見る特徴を一級建築士の観点からご紹介してきました。
まとめると以下になります。
欠陥住宅でよく見る特徴10選
①配管が構造体を貫通している
②基礎の鉄筋が露出している
③補強金物が取り付けられていない
④耐力面材の釘固定間隔が広すぎる
⑤地盤沈下で建物が傾いている
⑥防水シートの施工不良
⑦屋根が剥がれる
⑧基礎のひび割れ
⑨外壁のひび割れ、剥がれ
⑩外壁サイディングの釘打ち不良
欠陥住宅を見極めるには、施工要領をしっかりと理解した上で工事現場でのチェックが必要になります。
工事現場をチェックするにしても、時間が取れない人がほとんどだと思います。
自分ではわからないことがあったり不安に思ったら、
自分の代わりにしっかりとプロの目で工事の施工状況をチェックしてくれる設計事務所に工事監理を依頼しましょう。
この記事が少しでもせっかくの注文住宅を欠陥住宅にしたくない人のお役に立てれば幸いです。
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