【一級建築士の家づくり】注文住宅の間取りでやりがちな失敗例5選

注文住宅のほとんどは要望に合わせていちから間取りを考えます。

ベースとなる間取りを選んでアレンジしていくような方法もありますが、

せっかく家を建てるなら、いちから理想の注文住宅を実現したいですよね。

いちから間取りを決めるのは難しいの?

ベースとなる間取りがあったとしても、建てる土地の条件によってうまく合わないことがあるので、

いちから作るほうが融通が効く場合が多いです。

私は18年間(2024年現在)注文住宅やリノベーションを中心に設計事務所を運営してきましたが、

理想の注文住宅を実現するためには、家族の生活スタイルにあった間取りを決めることがとても重要だと考えています。

今回は間取りでやりがちな失敗例を5つご紹介し、失敗の原因となりがちなことを一級建築士の視点でアドバイスします。

この記事を読むと以下のことがわかります。

この記事でわかること

・間取りでやりがちな失敗例5選

・失敗を防ぐために知っておくべきこと

上記のことがわかります。

間取りを失敗すると後々まで後悔することが多いです。

間取りの良し悪しが暮らしやすさに直結するので、

「もうこれでいいか…」

と妥協することなく、家族としっかりと話し合いましょう。

家族の生活スタイルを間取りに反映できるようにしっかりと時間をとり決めていきましょう。

間取りでやりがちな失敗例5選

間取りでやりがちな失敗例は以下の5つになります。

間取りでやりがちな失敗例5選

・立地環境を考慮しない失敗

・順序を間違えての失敗

・コンセプトがブレすぎる失敗

・時間にゆとりがなくて失敗

・詰め込みすぎて失敗

立地環境を考慮しない失敗

同じ間取りの建物でも快適に暮らせる場合と後悔が尽きない場合があります。

それは、土地の場所や形がそれぞれ違うからです。

間取りを考える際に雑誌やインターネットの記事、モデルハウスなどたくさんの情報を得て

こんな家で暮らしたい!

と理想のデザインや間取りを見つけたとしても、それが実現できる立地環境かどうかが大切になります。

土地選びをする際には希望のエリアを最優先することが多いと思うのですが、見つかった土地が条件通りの形や環境であるとは限らないです。

土地の形や道路との位置関係、駐車台数、周辺の環境によってゾーニング(どこに何を配置するか)がかなり変わります。

失敗例として多いのは、以下のような条件で大開口の広々としたリビングを採用してしまう場合です。

大開口のリビングの失敗例

・隣家との距離が近すぎる

・人通りが多い道路に面している

・プライバシーが確保できない

せっかくの大開口なのに、

・視線が気になってカーテンを開けられない

・目隠しフェンスが近すぎて圧迫感がある

・採光が不十分なリビングになってしまう


ことになってしまうこともあります。

理想の間取りがあったとしても条件がぴったりの土地が見つかるほうが少ないかもしれません。

重要なポイントは土地の弱点を補えるような家づくりにすることです。

広々とした開放感のあるリビングにするには窓の大きさも大切ですが、

太陽光をどのように取り込むか、プライバシーが保たれるかを考えた上での工夫が必要になります。

毎日の暮らしを考える場合は、見た目の良さよりもくつろげる空間づくりを第一に考えましょう。

順序を間違えての失敗

間取りはとても大切なものですが、家づくりという作業の中のひとつとして考えると順序も大切になります。

・車をどのような向きにするか

・車を何台停めるか

・庭の広さをどのくらいにするか

・玄関の位置をどこにするか


など、間取りに取りかかる前に外の配置を先に考えたほうがうまくいくことが多いです。

間取りありきで考えてしまうと、庭が狭くて道路がリビングのすぐ前にあったり、

車が縦列駐車になって後ろの車を出すのに前の車を動かすことになったりすることもあります。

立地環境にあった生活しやすい間取りにするためには、外との関係も重視しましょう。

コンセプトがブレすぎる失敗

コンセプトときくと、和風とか北欧風、シンプルモダンなどデザインのことを考えますが、

そのような見た目ではなく、ライフスタイルに合わせて決めた以下のような家のことを言います。

ライフスタイルに合わせたコンセプト

・収納の多い家

・家事動線がよい家

・生活音が外に漏れない家

など、生活する上で大切なことをあげて順位づけすることが重要なポイントになります。

経験者の声をきくと、家を建てることが決まるとおしゃれな家にしたい、最新の設備を取り入れたいという気持ちが先行して、

本当に大切なことが後回しになってしまったという失敗談が結構あります。

まずは現在の暮らしを振り返って、ここが不便、こうだったらいいのになどを家族みんなと話し合って、

箇条書きにして優先順位をしっかりと決めることが家づくりのコンセプトになります。

絶対に必要だと考えた部屋数や設備は最後までブレずに貫きとおしましょう。

例えば、以下のような心の負担になっていることがあればそれを最優先にして考えましょう。

・荷物が多くて片付かない

・洗濯物をベランダに干すのが苦痛

・子供が毎日ピアノの練習をする

・飼っている犬がよく吠える


などです。

収納であれば、単に荷物が多いと考えるのではなく、靴や衣類なのか、本や雑貨、アウトドア用品なのか、

おもちゃなのかによっても収納の方法は変わるので、しっかりと量を把握して考えましょう。

収納にも以下のようにいろいろな種類があります。

収納の種類

・シューズクローク

・ファミリークローゼット

・壁付けシェルフ

・納戸

など、用途や荷物の量によって収納スペースの広さや形が変わります。

狭すぎたり、無駄に広すぎたりしないように荷物の量をしっかり把握しておくことが大切です。

時間にゆとりがなくて失敗

間取りや設備を決めるまでには何度も打ち合わせが必要になります。

特にどの施工会社に依頼するかを決めるまでは、

いくつもの会社に同じ説明を何度も繰り返して見積もりを出してもらうので、それだけでも多くの時間を使うことになります。

住宅を完成させる時期に希望があって急がなければならないというケースでは、仕事と打ち合わせの両立ができなくなって、

もうこれでいいか…

妥協することが多くなったり、細かい部分まで気がまわらなくなったりして、重要なことを見落としてしまいます

また、家族との話し合いも十分にできなくて夫婦げんかが多くなったというご家庭もあります。

間取りは広さや配置を考えるだけでなく、照明やコンセントの位置、数などもライフスタイルに合わせてしっかりと考えなければなりません。

実際にそのようなことで、あの時もっと考えておけばよかったと後悔する人は多いです。

なかなか難しいことですが、間取りを考えるための時間は十分取れるようにしましょう。

詰め込みすぎて失敗

間取りを考える際にあれもこれもと希望を詰め込みたくなりますよね。

家族の希望はそれぞれ違っていて全てを叶えることは難しいです。

家族の希望で多いもの

・ランドリールームが欲しい

・一人でゲームする部屋が欲しい

・狭くてもいいから書斎が欲しい

など、たくさん詰め込んでしまうと部屋の仕切りが多くなって建築費用がアップするだけでなく、

せっかく作ったのに使わない部屋が多くなることもあります。

十分な広さの土地と予算があって、広い家が建てられるならよいのですが、

35坪前後の建物ではあきらめるものも出てくきます。

そんな場合は洗面所を少し広くしてランドリールームと兼用したり、

2階の廊下にセカンドリビングを作ったり、リビングの一角をスキップフロアにするなどの工夫をしてみましょう。

これだけのためのスペースや誰か専用スペースが多くなると不便や無駄も多くなります。

間取りを考えるときには、いろいろな用途でみんなが自由に使用できるスペースづくりを心がけるとよい家づくりができます。

失敗を防ぐために知っておくべきこと

間取りを考えるときに一番大切なのは、暮らす人たちのライフスタイルに合った住み心地のよい家になることです。

そのためには、もちろん施主さんの希望が最優先ですが、

設計者の立場で

・この間取りには無理がある

・こうしたほうが断然暮らしやすい


ということを伝えなければならないこともあります。

例えば、外からの視線や日当たり、風通しを考えると大開口よりも高い位置に窓を設けたほうがいい場合や、

LDKでは家族が交差することを考えてリビングよりもキッチン通路を広くしたほうがいい

など理想とは違う提案があったら検討してみる必要があります。

施主さんの目線で大切なことは、毎朝家族がどんな行動をとるか、

帰宅後や休日みんなは何をして過ごしているかなどを思い描きながら、適切な広さや部屋の配置を考えることだと思います。

一生に一度かもしれないマイホーム設計です。

10年、20年先も暮らしやすい、柔軟性のある間取りを考えましょう。

【自己紹介】

Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所

設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。

店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。

現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。

設計事務所のブログを始めて2年目で月間25000PVを達成!

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それからコメント欄はこれまで皆さんが経験してきたことを発信する場として使っていただければ幸いです。

役立つ情報をみんなで共有できるような書き込みは大歓迎です。

まとめ

今回は間取りでやりがちな失敗例を知りたい人や注文住宅の間取りをなかなか決められない人に対して、

間取りでやりがちな失敗例を5つご紹介し、失敗の原因となりがちなことを一級建築士の視点でアドバイスしてきました。

まとめると以下になります。

間取りでやりがちな失敗例5選

・立地環境を考慮しない失敗

・順序を間違えての失敗

・コンセプトがブレすぎる失敗

・時間にゆとりがなくて失敗

・詰め込みすぎて失敗

間取りを失敗すると後々まで後悔することが多いです。

間取りの良し悪しが暮らしやすさに直結するので、

「もうこれでいいか…」

と妥協することなく、家族としっかりと話し合いましょう。

家族の生活スタイルを間取りに反映できるようにしっかりと時間をとり決めていきましょう。

この記事が少しでもこれから家を建てるみなさんの失敗しない家づくりの参考になってくれれば幸いです。

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アーキトリック一級建築士事務所

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