【空き店舗の探し方】空き店舗を探す際の設計上の10このポイント

空き店舗はいい物件だと思っても、設計上のポイントをしっかり知っておかないと後から後悔する場合が多いです。

特に古い空き店舗の場合など建築基準法や消防法に適合していない物件も多く存在しています。

法適合していない空き店舗だったらどうすればいいの?

用途変更などの申請が必要な場合は既存不適格として法適合させる工事をして申請することはできますが、

違法建築物の場合は確認済証や検査済証がないことも多く、既存不適格建築物の認定をすることができないケースがほとんどです。

私は17年間(2023年現在)注文住宅やリノベーションを中心に設計事務所を運営してきましたが、

以前に勤めていた会社で店舗設計を数多く手掛けてきた経験から意見を言わせてもらうと、

違法建築物の場合は条件がいい空き店舗でも基本的には借りないほうがいいと思います。

数年で事業を撤退するまたは移転することが決まっているならいいのですが、その場所で事業を拡大していく長期的な視野があるのであれば、

大掛かりな改装も必要になるので、確認申請できないのは問題になることが多いです。

今回はそんな条件の悪い空き店舗を見抜くための設計上の10このポイントをご紹介します。

この記事を読むと以下のことがわかります。

この記事でわかること

・空き店舗を探す時の10このポイント

・設計事務所としての注意点

上記のことがわかります。

設計上のポイントをしっかりと把握した上で空き店舗を探したほうが後で後悔することはなくなります。

店舗は10年に1回は改装することが多いです。

その際に不都合のないように、しっかりと最初の段階から条件の良い空き物件を契約しましょう。

【自己紹介】

Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所

設計事務所を17年間(2023年現在)運営している現役の一級建築士です。

店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。

現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。

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空き店舗を探す時の10このポイント

空き店舗を探す時の10このポイントは以下になります。

空き店舗を探す時のポイント

①主となる用途の確認

②広さと使い勝手

③外壁や屋根の状況

④トイレ、給湯室など水まわりの状況

⑤エアコン設備の交換の必要性

⑥換気扇設備の設置状況

⑦看板の設置方法

⑧窓の設置状況

⑨階段など避難経路

⑩消防設備の有無

①主となる用途の確認

空き店舗を探す時のポイントは、主となる用途の確認することです。

主となる用途を変更する必要があるときに、用途変更の申請をしなければならない場合があるからです。

主となる用途とは「事務所」、「店舗」、「飲食店」など確認申請書や不動産情報に記載されている用途のことです。

「事務所」から「飲食店」への変更は特に注意が必要です。

また、建物自体が特殊建築物の場合、様々な基準法や消防法などの規制がかかってきます。

特殊建築物とは不特定多数の人が利用する建物のことです。
※飲食店になる場合は特殊建築物になる可能性があります。

②広さと使い勝手

空き店舗を探す時のポイントは、広さと使い勝手を確認することです。

広さは家賃に影響し、使い勝手は内装レイアウトのしやすさに影響するからです。

広さは200㎡(約60坪)を超える場合は用途変更の申請が必要になります。

自分の起業しようとしている事業がどのくらいの広さを必要とするのかを探す前にしっかりと把握しておきましょう。

給湯室やトイレなどどのように配置されているのか確認しながら使い勝手をイメージしましょう。

③外壁や屋根の状況

空き店舗を探す時のポイントは、外壁や屋根の状況を確認することです。

外壁が劣化していたり、屋根から雨漏りがあったりすると大掛かりな修繕が必要になるからです。

その部位の過半(半分を超える)の修繕や模様替えは確認申請が必要になります。

また、一般的に外壁や屋根の修繕はオーナー側の費用負担の工事になりますが、痛み具合では内部まで修繕が必要になってくる場合もあります。

天井に雨漏りがないのかなど屋根、床、壁などの劣化具合をしっかりと確認しておきましょう。

④トイレ、給湯室など水まわりの状況

空き店舗を探す時のポイントは、トイレ、給湯室など水まわりの状況を確認することです。

水まわりの変更や改装は工事費が高くなる場合が多いからです。

また、和式のトイレを様式に変えるなどの場合は、小上がりの床のハツリが必要となったり、

床配管をするために段差を作らなければ配管が納まらないケースもあります。

給湯室は給湯器がガスなのか電気なのかをしっかりと確認しましょう。

電気の場合は消費電力が大きくなるので毎月の電気代が大きくなります。

⑤エアコン設備の交換の必要性

空き店舗を探す時のポイントは、エアコン設備の交換の必要性を確認することです。

エアコン設備の交換が必要になった場合は、配管方法によって工事費用が大きくなる場合があるからです。

エアコン本体が古くて稼働しなかったり、タバコのヤニがついていたりする場合は交換が必要になります。

また、室外機の設置場所もしっかりと確認しておきましょう。

室外機の置き場所が屋上の場合は屋上まで配管しなければならないのでクレーンで吊り上げるなどかなり大掛かりな工事になります。

⑥換気扇設備の設置状況

空き店舗を探す時のポイントは、換気扇設備の設置状況を確認することです。

店舗であっても居室部分は24時間換気が必要になるからです。

昔のテナントの場合は換気扇設備がしっかりと設置されていない場合が多いです。

また、設置されていても機能していない場合は換気扇設備を新設で付けなければならないです。

換気扇設備は天井を剥がして配管が必要になる場合もあるので、既存の配管ダクトがしっかりと使えるのかを確認しておきましょう。

⑦看板の設置方法

空き店舗を探す時のポイントは、看板の設置方法を確認することです。

新設で看板を取り付けるとなるとかなりの費用がかかる場合があります。

看板の取り付け可能な位置やコンセント、電源の有無などをしっかりと確認しておきましょう。

屋外に設置する看板は屋外用の看板の作りにしましょう。

屋外用でないと電球が雨でショートしたり、腐食に耐えられなくて傷んでしまう場合があります。

⑧窓の設置状況

空き店舗を探す時のポイントは、窓の設置状況を確認することです。

窓は排煙設備にもなるので設置状況をしっかりと確認する必要があります。

具体的には、

・開閉のしやすさ
・窓の外の周辺状況
・排煙設備としての能力


などを確認しましょう。

よくカラオケ店などで排煙窓を塞いでしまっている店舗を見かけますが、

それは基準法上では違法なのでそのような改装はしないようにしましょう。

いざ、火災が起きたときに排煙窓が機能しないと煙を吸ってしまい人への被害が大きくなります。

⑨階段など避難経路

空き店舗を探す時のポイントは、階段など避難経路を確認することです。

階段などの避難経路は火災が起きたときに、お客さんがスムーズに避難できるかどうかに影響するからです。

古いビルの場合は2階や3階への階段がとても急だったり、踏み幅が狭かったりする場合が多いです。

また、途中で障害物がないかも確認しておきましょう。

⑩消防設備の有無

空き店舗を探す時のポイントは、消防設備の有無を確認することです。

自動火災報知設備などがあった場合は1年に1回は検査が必要になるからです。

その他の消防設備としては、ベランダ付近のハシゴの常備や消火栓、消化器、誘導灯、スプリンクラーなどがあります。

自動火災報知設備などがあると内装レイアウトを変えたら自動火災報知設備も追加や変更する必要があるので、そのビルを管理する防災屋さんに確認をとりましょう。

設計事務所としての注意点

設計事務所としての注意点は以下になります。

設計事務所としての注意点

・建築基準法や消防法を遵守する

・店舗改装に実績のある設計事務所を選ぶ

・店舗改装に実績のある施工会社を選ぶ

建築基準法や消防法を遵守する

店舗設計では建築基準法を守らないで作ってしまうケースが多いです。

確認申請や消防申請が必要な場合は、店舗の内装工事費以外にかかる費用があるのでしっかりと確認しておきましょう。

事故が起きて調べたら、違法だった場合は、オーナーの責任になる場合もあるので注意しましょう。

店舗改装に実績のある設計事務所を選ぶ

店舗改装に実績のある設計事務所を選ぶことも重要です。

いくら綺麗な店舗を作ってもらったとしても、建築基準法や消防法を遵守しない設計事務所はあまり信用できません

店舗改装は10年に1回と住宅などと比べて改装するペースが早いので、法令遵守を曖昧にする設計事務所も多々あります。

いざ、火災や事故が起きてからでは遅いのでしっかりと店舗改装に実績のある設計事務所を選びましょう。

店舗改装に実績のある施工会社を選ぶ

店舗改装に実績のある施工会社を選ぶことも重要です。

店舗改装は開店日が決められている中で工事する場合がほとんどです。

工事が開店日を過ぎればその日の売り上げ分の費用を違約金として支払わなければならない場合もあります。

店舗改装が得意な職人さんを抱えている施工会社であれば、工事の遅れは徹夜で工事してでも取り戻せる体制があります。

また、店舗用の仕上げ素材や納まりもあるので、安くて早さを求めるのであれば、店舗改装に実績のある施工会社を選びましょう。

まとめ

今回は空き店舗を探して事業を始めようとする人や空き店舗を決めるポイントがわからない人に対して、

空き店舗を探す際の設計上の10このポイントをご紹介してきました。

まとめると以下になります。

空き店舗を探す時のポイント

①主となる用途の確認

②広さと使い勝手

③外壁や屋根の状況

④トイレ、給湯室など水まわりの状況

⑤エアコン設備の交換の必要性

⑥換気扇設備の設置状況

⑦看板の設置方法

⑧窓の設置状況

⑨階段など避難経路

⑩消防設備の有無

設計事務所としての注意点

・建築基準法や消防法を遵守する

・店舗改装に実績のある設計事務所を選ぶ

・店舗改装に実績のある施工会社を選ぶ

設計上のポイントをしっかりと把握した上で空き店舗を探したほうが後で後悔することはなくなります。

店舗は10年に1回は改装することが多いです。

その際に不都合のないように、しっかりと最初の段階から条件の良い空き物件を契約しましょう。

この記事が少しでも事業を始めるのにぴったりな空き店舗を探すのにお役に立てれば幸いです。

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アーキトリック一級建築士事務所

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