この仕様を選べば間違いなし!?木造住宅を長持ちさせる水まわりの仕様の選び方

2021年の一戸建て住宅着工戸数のうち木造住宅の割合は約9割だそうです。

木造住宅の法定耐用年数は22年と定められていますが、

それは資産の計算などで事務的な処理上のものであり、実際に暮らせないほど劣化するわけではありません。

実際はどのくらいの耐用年数なの?

水まわりの耐久性などから耐用年数は20年をひと区切りとして考えることが多いです。

私は17年間(2023年現在)木造住宅を中心に設計事務所を運営してきましたが、

水まわりの仕様は特に注意を払って決めています。

水まわりの仕様次第で木造住宅が劣化してしまう危険性があるからです。

今回は木造住宅を長持ちさせる水まわりの仕様の選び方として、

水まわりの劣化を防ぐためにはどんな素材がよいか、どんな工夫が必要かなどについてご紹介します。

この記事を読むと以下のことがわかります。

この記事でわかること

・長持ちさせる水まわりの仕様

・水まわりの設備の選び方

上記のことがわかります。

木造住宅における水まわりのトラブルは建物の老朽化だけでなく、衛生的で健康な暮らしにも悪影響を与えてしまいます。

トラブルを未然に防ぐためにも正しい知識を備えておきましょう。

【自己紹介】

Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所

設計事務所を17年間(2023年現在)運営している現役の一級建築士です。

店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。

現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。

設計事務所のブログを始めて2年目で月間25000PVを達成!

住宅に関する悩みを解決すべく、ブログやTwitterで情報発信しています。

「いいね!」や「フォロー」していただけるとうれしいです。ヨロシク(b・ω・d)デス♪

それからコメント欄はこれまで皆さんが経験してきたことを発信する場として使っていただければ幸いです。

役立つ情報をみんなで共有できるような書き込みは大歓迎です。

長持ちさせる水まわりの仕様

長持ちさせる水まわりの仕様を以下の箇所ごとに考えてみましょう。

・キッチン
・洗面脱衣所や浴室
・トイレ

キッチン

最近はLDKにしているご家庭が多いのでキッチンも日常生活空間として開放的になっています。

日ごろの手入れを怠るとキッチンだけクロスや床の傷みが目立つので気をつけましょう。

長持ちさせる水まわりの仕様として、以下のキッチンの箇所について見ていきましょう。

キッチンを長持ちさせる仕様

・システムキッチン
→水栓の手入れ

・排水管

→排水口にメーカーの工夫がある

・壁

→不燃化粧板、ホーロー

・床

→塗装された無垢フローリング、フロアタイル

システムキッチン

システムキッチン自体の耐用年数は部品によって異なりますが、一般的に10〜20年とされています。

毎日、熱、油、水を使うところなので手入れをしないと劣化の速度が加速して、水栓がガタついたり、つなぎ目から水が漏れたりして交換や修理が必要になります。

特に吐水口は下向きになっているので手入れ不足で黒カビや水アカが発生しやすく、水に含まれているカルシウムが固まって水が出にくくなることもあります。

水栓は使用後に全体的に水を拭き取るだけでも石灰化防止に効果があります。

排水管

キッチンで最もトラブルが多いのは排水管です。

食べ残しや油汚れが蓄積すると流れが悪くなってつまりが発生します。

パイプクリーナーを使用するご家庭も多いと思いますが、長時間放置すると溶けたカスが大きなかたまりになることもあるので、使用後は水をたくさん流しましょう

シンクの排水口もメーカーによってさまざまな工夫がなされているので、そのような点もよく見て検討しましょう。

例えばTOTOさんの排水口は1カ所にまとまりやすい網かごになっていて、排水口がつまりにくい形状になっています。

そして、シンクと排水口の繋ぎ目をなくしたことでゴミがひっかかって残ることがないので排水管内に流れ込むことも防いでくれます。

排水管の詰まりは小さなゴミが蓄積することが原因なので、このような工夫も重要になります。

キッチンまわりの壁は油汚れを防いで汚れがつきにくく、掃除がラクな機能性の高いものを選ぶことをおすすめします。

昭和の頃はステンレスやタイルをよく見ましたが、最近では不燃化粧板やホーローなどのパネルが多く選ばれています

ホーローはデザインのバリエーションが少ないというデメリットがありますが、耐熱性が高く、手入れがとてもラクでニオイもつきにくい素材です。

マグネットも使えるので調理器具や調味料などの棚やフックをどこにでもつけられるので便利です。

タカラスタンダードさんのキッチンは収納部分の扉や内部もホーローです。

日々のお手入れ次第で長くきれいに使えます。

リビングやダイニングとつながっているいるキッチンはなるべく統一感のある床材を選びたいです。

キッチンは水や油の飛び跳ねが多く、ベタつきや黒ずみなどほかのところとは汚れの種類が違うので掃除のしかたも変わります。

水拭きで簡単に落とせるならよいのですが、油を含んだ汚れはガンコですよね。

LDK全体に同じ無垢フローリングを使用した場合でも、汚れ防止にキッチンマットを敷きっぱなしにしておくとカビが生えやすくなるので注意が必要です。

最近では無垢材でも塗装を施すものもあるので、そのようなもので対応してみるのもよいと思います。

また、キッチンにフロアタイルを選ぶご家庭も増えています。

デザインのバリエーションも豊富で高級感があるものもたくさん見つかるので検討して見ましょう。

洗面脱衣所や浴室

洗面所や浴室は建物のなかで日当たりや風通しが良くないところにあることも多く、エアコンが効いているわけでもないので湿気がこもりやすいです。

洗面脱衣所や浴室は、木造住宅でいちばん劣化しやすいところだと思います。

長持ちさせる水まわりの仕様として、以下の洗面脱衣所や浴室の箇所について見ていきましょう。

洗面脱衣所や浴室を長持ちさせる仕様

・窓
→日当たりや風通し、換気扇

・壁、天井

→アイカ工業「セラール」、大建工業「グラビオ」
→クロスは凹凸のないもの

・床

→フロアタイル、クッションフロア

・排水管

→排水口や配管を定期的に掃除する

洗面脱衣所や浴室は常に湿気があるところなので日当たりや風通しは確保したいところになります。

これらのスペースに大きな窓は不要かもしれませんが、湿気やニオイがこもらないように、窓で換気ができるようにしておいた方が長持ちすると思います。

浴室と隣接しているため洗面台や洗濯機の周囲や下の部分など見えないところが湿っている場合があります。

そこにカビが発生することがあります。

気づかずに長く放置しておくと床の腐食の原因にもなるので、風が通るようにしておきましょう。

窓を設置しない場合は洗面脱衣所にも換気扇をつけましょう。

壁、天井

洗面脱衣所はクロスにするよりもメラミンやガラス質の壁材を使用した方が断然長持ちします。

防カビ、防水機能を備えたクロスもたくさんありますが、はがれてきたりカビがはえたりする場合があります。

湿気やカビに強い壁材を選ぶことで初期費用はアップしますが、長期間の劣化が見られないものであればコスパはよいと思います。

例えば、アイカ工業さんの「セラール」や大建工業さんの「グラビオ」などが挙げられます。

アイカ工業「セラール」は熱や湿気に強いメラミン不燃化粧板で、抗ウイルス、抗菌性能に消臭性能をプラスしたものもあります。

毎日の洗濯や歯磨きで飛び散った汚れもサッとひと拭きなので掃除もラクになります。

窓や換気扇のない洗面脱衣所でもこのような壁材を使用すれば、湿気やカビが防げます。

しっかりお手入れしていれば10年たっても劣化が見られないという声もあります。

大建工業「グラビオ」は鉱物繊維や火山性ガラス質堆積物を原材料とした不燃壁材で、湿気に強く抗菌性もあり、お手入れもラクラクです。

湿気の多い空間でクロスを選ぶ場合はなるべく表面に凹凸のないツルッとしたものがよいでしょう。

さわってザラっとするものは湿気を含んだホコリがつきやすく拭いても湿気や汚れが取りきれていないことが多いです。

浴室から出たところの足ふきマットを長期間置きっぱなしにして床が黒ずんだり、カビがはえたり、床材がめくれるなどのトラブルが発生することは多いです。

カビや腐食が広がると床下まで傷んでしまいます。

洗面所に無垢や複合フローリングを使用するのは不安ですよね。

木材は水が染み込んで腐食するリスクがあるので水に強い素材を選んだ方がよいでしょう。

耐水性に優れた床材で取り入れやすいものは、フロアタイルやクッションフロアなどがあります。

フロアタイルは質感がリアルで安っぽさもなく、水まわりで人気のある床材ですが、寒い時期は裸足で歩くと冷たいというデメリットがあります。

一方でクッションフロアは見た目が少々安っぽく、重いものを置くと凹みます。

耐久性もイマイチですが、費用が安価なので張り替えをしてもそれほど負担になりません。

排水管

洗面所、浴室の排水管はつまったり悪臭が発生したりしやすいところです。

髪の毛が流れないように注意していても石鹸カスや皮脂がヘドロ状になることで見えない部分が劣化していきます。

浴室の排水口だけでなく浴槽のエプロンを取り外したところにある浴槽したの排水口や配管も定期的に掃除をしておきましょう。

メーカーごとにエプロンの取り外し方や掃除の仕方があるので確認してみましょう。

排水管は床下を通っているのでどこかで水漏れしていると床下に直接流れ込んで腐食してしまいます。

排水に時間がかかったり、排水口から異音がするなどの症状を見逃さないようにしましょう。

トイレ

トイレの床は便器から床への飛び散りなどで思いのほか劣化します。

また、毎日掃除をしていても経年とともに床や壁にニオイがしみついてしまいます。

長持ちさせる水まわりの仕様として、以下のトイレの箇所について見ていきましょう。

トイレを長持ちさせる仕様

・床
→フロアタイル、クッションフロア

・壁
→エコカラットプラス

トイレの床材も洗面脱衣所と同様にフロアタイルやクッションフロアがよく選ばれています。

廊下とのギャップがないようにフローリングにするご家庭も多いようですが、やはり木材は耐水性が低く洗剤などにも弱いのでトイレの床材としては不向きです。

アンモニアで変色しやすいということもあります。

特に小さなお子さんがいるご家庭では、長く清潔に使用することを考えると、フローリングは避けたほうがよいでしょう。

トイレの壁はやはり消臭、抗菌効果のあるものを選びたいですね。

トイレにはLIXILさんのエコカラットを取り入れてみるのもよいでしょう。

トイレの匂い対策としてはエコカラットプラスがおすすめです。

消臭効果はもちろん調湿建材でありながら水や汚れを通さず、表面を水ふきできるので掃除もラクになります。

木造住宅では湿気対策を万全にすれば長く快適に暮らせます。

それぞれの場所にあった設備を取り入れてしっかりとお手入れをしましょう。

まとめ

今回は水まわりの仕様をどうすればいいか知りたい人や木造住宅を長持ちさせる方法を知りたい人に対して、

木造住宅を長持ちさせる水まわりの仕様の選び方をご紹介してきました。

まとめると以下になります。

キッチンを長持ちさせる仕様

・システムキッチン
→水栓の手入れ

・排水管

→排水口にメーカーの工夫がある

・壁

→不燃化粧板、ホーロー

・床

→塗装された無垢フローリング、フロアタイル

洗面脱衣所や浴室を長持ちさせる仕様

・窓
→日当たりや風通し、換気扇

・壁、天井

→アイカ工業「セラール」、大建工業「グラビオ」
→クロスは凹凸のないもの

・床

→フロアタイル、クッションフロア

・排水管

→排水口や配管を定期的に掃除する

トイレを長持ちさせる仕様

・床
→フロアタイル、クッションフロア

・壁
→エコカラットプラス

木造住宅における水まわりのトラブルは建物の老朽化だけでなく、衛生的で健康な暮らしにも悪影響を与えてしまいます。

トラブルを未然に防ぐためにも正しい知識を備えておきましょう。

この記事が少しでも木造住宅を長持ちさせるのにお役に立てれば幸いです。

この記事が役に立った、面白かったという方はコメントしてくださいね。

また、FacebookやTwitterでみなさんのお役にたてる情報発信しています!

「いいね!」や「フォロー」していただけるとうれしいです。ヨロシク(b・ω・d)デス♪

アーキトリック一級建築士事務所

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です