超危険な空間になる?知らないと後悔する浴室の特徴や注意点

毎日の入浴タイムは1日の疲れを癒す大切な時間です。

注文住宅では浴室にこだわるご家庭も少なくありません。

浴室は癒しの空間でもありますが、様々な部分で気配りをしないと超危険な空間にもなり得ます

浴室ってどのくらい危険なの?

消費者庁の調査によると入浴中のアクシデントで亡くなる人数は年間約19,000人と推測されています。

なかでも浴槽内で亡くなった高齢者の人数は年間約5,000人で、交通事故で亡くなった人数のおよそ2倍だそうです。

私は17年間(2023年現在)住宅を中心に設計事務所を運営してきましたが、

ユニットバスを設置するご家庭が増えているためにそのようなアクシデントは少なくなっていると思います。

しかしながら、在来工法で露天風呂を作りたいなどご要望をいただくケースもあり、設計には様々な配慮が必要だと感じています。

今回はこの事実は全員に知ってほしい超危険なお風呂の特徴として浴室を考える時に注意しなければならないことをご紹介します。

この記事を読むと以下のことがわかります。

この記事でわかること

・知らないと後悔する浴室の危険性

・浴室の設備で注意したいこと

上記のことがわかります。

浴室は毎日入浴するので安心安全が1番だと思います。

在来工法のお風呂は少なくなってきましたが、ユニットバスだからと言って安全とは言い切れないところもあります。

今回ご紹介した危険性が自分の浴室にあるかどうかを一度確認しておきましょう。

【自己紹介】

Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所

設計事務所を17年間(2023年現在)運営している現役の一級建築士です。

店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。

現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。

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知らないと後悔する浴室の危険性

知らないと後悔する浴室の危険性は以下のようなものがあります。

知らないと後悔する浴室の危険性

・ヒートショックの危険

・転倒、ケガの危険性

・溺れる危険性

ヒートショックの危険

ヒートショックとは皆さんご存知かと思いますが、

寒い時期に暖かいところから寒い浴室に移動すると血管が縮んで血圧が上がります。

その後に熱いお湯につかると今度は血管が広がって急に血圧が下がります。

このように血圧が急に上がったり下がったりすると、めまいや立ちくらみを起こすだけでなく、心臓に負担がかかって心筋梗塞や脳卒中の原因になります。

ヒートショックが起きやすい浴室の状況としては次のような特徴が挙げられます。

ヒートショックが起きやすい浴室

・脱衣所や浴室に大きめの窓がある

・浴室が寒い

脱衣所や浴室に大きめの窓がある

窓は外気の影響を受けやすいところなので特に脱衣所や浴室が北側にある場合、窓が大きすぎると冬はかなり寒く感じます。

脱衣所や浴室の窓に断熱性の高い樹脂サッシや複層ガラスなどを使用するご家庭は少ないかもしれませんが、

アルミサッシは外気の冷たさが伝わりやすいのでシングルガラスの場合は脱衣室や浴室を冷やしてしまいます。

浴室内の寒さ対策としては窓枠やガラスの性能をあげることです。

浴室が寒い

浴室が冷えていて床が冷たいと体がびっくりしてしまいます。

特にタイルの床はヒヤッと冷たいですよね。

マットやスノコなどを敷くことで緩和できますが、カビの心配があるので日々のお手入れは必須になります。

高齢者が使用する場合はひんやり感が少ないものを選ぶことをおすすめします。

様々なメーカーで「ヒヤッとしない」床を選ぶことができます。

LIXILさんの購入検討時の重要視されたポイントについてのアンケートを実施したところ

「掃除がしやすいこと」「ヒヤッとしないこと」と回答した人が多いです。

暖かい部屋から寒い脱衣所に移動して服を脱ぐことで血管が縮んで血圧が上がります。

そのまま寒い浴室に入って足元がヒヤッとしたところですぐに熱いシャワーを体にかけたり、

急いで湯温の高い浴槽に入ったりすると、血管や血圧が極端に変化するのでとても危険です。

飲酒や飲食することでも一時的に血管が広がって血圧が下がるので直後に寒い脱衣所や浴室に行って熱いお湯に飛び込むのはとても危険です。

ヒートショックを避ける対策

ヒートショックを避ける対策としては以下のようなことがあります。

ヒートショックを避ける対策

・浴室暖房乾燥機を設置する

・脱衣所に暖房器具を設置する

・窓の性能をあげる

浴室暖房乾燥機を設置する

浴室でのヒートショックを防ぐためには、飲酒や飲食直後の入浴は避けることはもちろん、

浴室暖房乾燥機を設置して入浴前に浴室、脱衣所を暖めておきましょう。

脱衣所に暖房器具を設置する

脱衣所だけを暖めても浴室が寒いと危険性があるので服を脱ぐ前に浴室のシャワーを出しておくなど浴室も暖めておきましょう。

窓の性能をあげる

樹脂サッシ+複層ガラスなどにすると寒さはかなり軽減します。

前述しましたが浴室内に大きな窓がある場合は窓枠やガラスの性能をあげることが重要になります。

転倒、ケガの危険性

脱衣所と浴室のあいだに段差があったりシャンプーで床が滑りやすくなっていたりすると、小さなお子さんや高齢者が転倒する危険性が高くなります。

特に小さなお子さんは走ってしまうこともあるので注意が必要です。

注意点としては以下のようなことが考えられます。

転倒、ケガの危険性の注意点

・段差がある

・浴室内のでっぱりが多い

段差がある

最近は段差をなくしているご家庭がほとんどだと思いますが、段差の有無は設計の段階で明言しておきましょう。

浴室は狭くてぶつかるものがたくさんあるので転倒が大けがにつながる傾向にあります。

段差をまたいだときに床が濡れていたりぬめりがあったいるすると危険です。

高齢者のいるご家庭では手すりの設置をおすすめします。

小さなお子さんは浴室を遊び場のように感じていることも多いので、足元が見えなくなってしまうこともあります。

できるだけ段差をなくしたほうがよいでしょう。

段差がある場合はスノコを置いたりするなどの対策があります。

また、すべりにくい素材を使用した床も検討してみましょう。

そして、ひとりひとりが使用後にシャンプーなどの泡をしっかりと流すことも大切です。

浴室内のでっぱりが多い

浴室が広々としていればお子さんの体や髪を洗ってあげるときでもゆとりがありますが、

少々狭いなと感じる場合はぶつかってケガをしたり転んだりしないよう、周囲をスッキリさせましょう。

でっぱりがあるとすべったときにも危険です。

ベンチカウンターが折りたためる仕様や棚をマグネット式で取り外し、移動できるようなものにすると動きが楽になります。

また、水栓の位置が悪いと頻繁に体をぶつけてしまうこともあるので注意しましょう。

溺れる危険性

浴槽で溺れることなんかあるの?と思う人も多いと思いますが、状況によっては亡くなる危険性もあります。

どのご家庭にもありえることなので注意が必要です。

令和3年の厚生労働省人口動態統計によると、

高齢者の浴槽内での不慮の溺死や溺水による死亡者数は約5,000人で交通事故のおよそ2倍になっています。

高齢者や小さなお子さんだけでなく、普段から健康で心配ないと思っている人にも起こり得ることです。

溺れる危険性のある作りとして注意したいのは以下になります。

溺れる危険性の注意点

・浴槽のまたぎの高さ

・ 急に立ち上がるのも危険

浴槽のまたぎの高さ

浴室の床からの高さは一般的に40〜45cm程度のものが多いです。

身長や足腰の状態にもよりますが、足を上げてまたいで浴槽の底に足をつくという動作が大きいと、バランスをくずして浴槽内に転倒する危険性があります。

床からの高さが低ければよいというものでもありません

浴槽についた手がすべることもあるので、高齢者が使う浴槽は高すぎても低すぎても手すりはあったほうが断然よいです。

また、手すりに加えて浴槽のふちに腰かけられるくらいのスペースがあると、立ったままつかまって入るよりも安定します。

ひと昔前の浴槽は床から60cmほどの高さで浴槽も深めでした。

現在は高さが床から40〜45cmで広く浅い浴槽に人気があります。

便利なようですが低すぎると小さなお子さんにとって危険な浴槽になってしまうので、目を離さないように気をつけなければなりません。

浴槽内をのぞき込むようにして落ちたときに浴槽が広いため、足がつくところでもパニックになって溺れる危険性があります。

急に立ち上がるのも危険

これはどんな浴槽の形状でも同様ですが、

長く熱いお湯につかっていて急に立ち上がったときにめまいや立ちくらみが起きて浴槽内に倒れこんでしまうこともあります。

高齢者だけでなく酔ったままお湯につかることがある人は要注意です。

気がとおくなって溺水してしまう可能性があるということです。

ぬるいお湯でも酔ったまま眠ってしまうことがないように気をつけてくださいね。

浴室の設備で注意したいこと

健康な人にとってはヒートショックや溺水などは思いもしないことかもしれませんが、

家族に心配がなくても高齢者のご両親が泊まりに来ることも考えておいたほうが安心です。

他にも気をつけておきたいこととしては以下のようなことが挙げられます。

浴室の設備で注意したいこと

・浴室の扉に注意する

・防犯対策もしっかりと

浴室の扉に注意する

これはトイレや高齢者の居室でもよく聞かれることですが、

もし倒れてしまったときに内開きの開戸だと開かなくなってしまう危険性があります。

脱衣所はそれほど広くないので浴室を開戸にする場合は内開きのことが多いですよね。

浴室で誰かが倒れるということは想像しにくいことですが、万が一のときに助けられなかったら大変です。

内開きにする場合は簡単に扉が外せるような扉を設置することや外開きや引き戸にする方がよいと思います。

また、浴室から他の部屋に向けて呼び出し音が鳴らせるようにしておくという方法も有効です。

給湯器のリモコンの機能にあるので確認してみましょう。

防犯対策もしっかりと

浴室が人通りのある道路に面していると窓の外からの視線が気になります。

また、死角になっていて不審者が侵入できそうな通路に面していても怖いですよね。

浴室や脱衣所の窓は目隠し効果のある窓ガラスにして高さや大きさに気配りをしましょう。

また、浴室は人目につきにくい位置にあることが多いので、空き巣が侵入しやすいとも言えます。

面格子をつけるなど、必ず防犯対策をしましょう。

まとめ

今回は浴室で後悔したくない人や浴室がどうすれば危険になるのか知りたい人に対して、

全員に知ってほしい超危険なお風呂の特徴として、浴室を考える時に注意しなければならないことをご紹介してきました。

まとめると以下になります。

知らないと後悔する浴室の危険性

・ヒートショックの危険

・転倒、ケガの危険性

・溺れる危険性

ヒートショックが起きやすい浴室

・脱衣所や浴室に大きめの窓がある

・浴室が寒い

ヒートショックを避ける対策

・浴室暖房乾燥機を設置する

・脱衣所に暖房器具を設置する

・窓の性能をあげる

転倒、ケガの危険性の注意点

・段差がある

・浴室内のでっぱりが多い

溺れる危険性の注意点

・浴槽のまたぎの高さ

・ 急に立ち上がるのも危険

浴室の設備で注意したいこと

・浴室の扉に注意する

・防犯対策もしっかりと

浴室は毎日入浴するので安心安全が1番だと思います。

在来工法のお風呂は少なくなってきましたが、ユニットバスだからと言って安全とは言い切れないところもあります。

今回ご紹介した危険性が自分の浴室にあるかどうかを一度確認しておきましょう。

この記事が毎日安心安全な入浴ができるように浴室を考える際の参考にしていただければ幸いです。

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