一級建築士がおすすめする失敗しない外構工事の進め方と注意点

家づくりは建物だけではなく外構を完成させるところまでです。

外構の計画は最後になるので、建物の方で予算をオーバーしてしまうと外構工事までお金がまわらなくなります。

外構にどれだけの予算を割けばいいの?

敷地の広さにもよりますが、大体、工事費用の10〜15%は外構工事の予算に取っておいたほうがいいと思います。

私は17年間(2023年現在)設計事務所を運営してきましたが、新築の注文住宅では外構工事に予算が回らなかったことが多いです。

最低限の工事でもやっておかないと暮らし始めてから不便さを感じてしまうケースが多いと思います。

今回は完成した時に後悔しないように外構工事の計画の立て方についてご紹介します。

この記事を読むと以下のことがわかります。

この記事でわかること

・外構工事の進め方と注意点

・安全性と耐久性を重視した素材選び

・失敗しがちな外構工事の事例

上記のことがわかります。

建物の設計段階である程度、外構工事を決めておけば予算配分を間違えることはなくなります。

外構工事までやって初めて注文住宅は完成します。

しっかりと設計段階で優先順位をはっきりさせ、外構工事で失敗して後悔しないようにしましょう。

【自己紹介】

Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所

設計事務所を17年間(2023年現在)運営している現役の一級建築士です。

店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。

現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。

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外構工事の進め方と注意点

外構工事の進め方と注意点は以下になります。

外構工事の進め方と注意点

・いつ、どこに依頼すればいいの?
→建築する施工会社、外構専門業者、ホームセンター

・優先順位をはっきりさせる

→暮らしに必要な機能を備える

いつ、どこに依頼すればいいの?

外構工事は住宅を建築する施行会社にまとめて依頼するか、住宅の完成後に外構専門業者やホームセンターなどに別途で依頼するかの2択になることが多いです。

どこまでの工事が必要か、設計の段階で目安をつけておきましょう。

外壁の色や素材に合わせてデザインしたいなら施行会社にすべてお願いした方がいいと思います。

施行会社にすべてお願いするメリットは以下になります。

施行会社にすべてお願いするメリット

・打合せが一本化できる

・外構も含めた住宅の完成イメージが見れる

・全体的な金額で調整できるので予算オーバーしにくい

などの理由で外構のまとまりはよくなります。

メンテナンスを低価格で行ってくれる会社もあるようです。

施行会社にすべてお願いするデメリットとしては、専門業者やホームセンターに依頼するよりも費用が高めになることが多いことです。

外構工事部門を備えた会社は少ないのでほとんど外注になり、そうなると中間マージンが発生するのが理由です。

外構は暮らしはじめてから徐々に完成させたかったり、個人的なデザインにしたいなどの希望があるなら、建物と外構を分けて考えた方がいいでしょう。

その際の注意点は以下になります。

・カーポートの支柱と排水管の位置

・外灯の電源の位置

・使用する素材についての知識


施行会社がすべて行う場合は支柱の位置や外灯の電源についてもしっかりと配慮してもらえますが、

どのような外構にするか考えずに建物だけが完成させると、外構工事に支障が出てしまう場合もあります。

予算の関係もありますが、設計の段階である程度は目安をつけておきましょう。

優先順位をはっきりさせる

外構はおしゃれに見せるための装飾ではないので、暮らしに必要な機能を備えておく必要があります。

立地条件によって必要なものはさまざまです。

暮らし始める前に必要なもの

・駐車場の整備

・隣家との境界フェンス

・目隠しフェンス

・外灯

・表札

・インターホン

・ポスト

上記のように近隣に影響するものや生活に欠かせないものは暮らしはじめるまでに完成しておきましょう。

庭や玄関までのアプローチについては土のままで雨が降ったら泥だらけになりそうな場合は早めに整備した方がいいでしょう。

新しいご近所さんのことは気になるもので、はじめの印象が大切です。

長く暮らすマイホームなので、周囲への気配りは怠らないようにしましょう。

安全性と耐久性を重視した素材選び

外構は直射日光や風雨にさらされっぱなしになるものなので、素材選びは慎重にしましょう。

特に注意したいものを挙げると以下になります。

安全性と耐久性を重視した素材選び

・アプローチの素材
→インターロッキング、洗い出し、コンクリート枕木

・フェンスの素材

→スチールメッシュ、アルミ形材

・ウッドデッキ、縁台の素材

→樹脂木(人工木)

アプローチの素材

おしゃれなタイルや安い素材を使ってしまうと雨の日は滑りやすいことがあります。

ゲリラ豪雨にあって走って帰宅したときに滑って転んでしまっては大変です。

見ただけではどれだけ滑りやすいかわからないので、雨の日に気づいて後悔しても張りなおすのは大変です。

表面に凹凸のある「インターロッキング」や「洗い出し」などは比較的滑りにくい素材です↓

また、「枕木」も滑りにくいと言われる素材です。

天然木の枕木は腐食しやすく、シロアリが発生することもあるので、コンクリートの枕木も検討してみましょう。

コンクリートの枕木は表面が木目調になっていて滑り止め効果もあります。

フェンスの素材

フェンスの素材はいろいろありますが、用途によって慎重に選びましょう。

例えば、隣家との境界を示すために設置する場合は、スチールメッシュがおすすめです。

目隠しの効果はありませんが、視線が気になる場所でもないのに高さのある目隠しフェンスを設置すると拒絶されていると思われてしまうかもしれません。

また、フェンスのせいで日当たりが悪くなったり、圧迫感があると苦情につながることもあるので注意しましょう。

目隠しのためのフェンスを設置するなら、外部からの視線を遮りつつ、適度に隙間があるものが風を通すので強風の日でも安心です。

ルーバータイプは目隠しと通風を両立させたつくりで、一見、隙間がないように見えますが、パネルに曲線をつけることで風が通るようになっています。

こちらはLIXILさんの横ルーバータイプです↓

天然木のような風合いですが、これはアルミ形材です。

スチールメッシュやアルミ形材はリーズナブルでありながら、耐久性が高く建物で予算オーバーしてしまった場合でも取り入れやすい素材になります。

ラティスなどの木製フェンスは安価で手軽にDIYで設置できるものですが、耐久性はかなり低く1〜2年で劣化します。

ウッドデッキ、縁台の素材

ホームセンターなどで安く購入できるSPF材は軽量で加工しやすい木材ですが、耐水性が低いのでひんぱんに防水、防腐処理が必要になります。

メンテナンスを怠るとシロアリが発生して家のほうまで被害が及ぶこともあります。

手間ひまかけてメンテナンスをする自信がない場合は避けた方がいいと思います。

ウッドデッキにはプラスチックと木粉(もくふん)を混合した樹脂木 (人工木)がおすすめです。

見た目が天然木に近く経年劣化による反りや変色も少なく、腐食することもないのでメンテナンスは不要でコスパがとてもいい素材です。

失敗しがちな外構工事の事例

家族構成によって外構で気配りしなければならないところは変わります。

失敗しがちな事例を挙げると以下になります。

失敗しがちな外構工事の事例

・駐輪場

・玄関ポーチ

・庭づくり

・予算が足りなくなる

→駐車場の舗装、門柱と表札は設置、土の部分に防草シートを敷く工事は予算がなくてもやる

駐輪場

お子さんがいるご家庭では駐輪場の作り方も大切です。

玄関前にたくさんの自転車が停められている家を目にすることがありますが、道ゆく人からは乱雑に見えてしまいます。

一家に何台もある場合は、歩くときに邪魔にならないよう配置しましょう。

駐輪場は設計の段階ではあまり重視されないことが多いようですが、

敷地からはみ出てしまうと近隣の迷惑になるのでしっかりと考えておきましょう。

玄関ポーチ

玄関ポーチが狭いと玄関ドアの開閉スペースだけになってしまって、出入りが窮屈になってしまうことがあります。

ベビーカーや大きな荷物を持って出入りする際にとても不便です。

できれば1帖程度の広さがあるといいでしょう。

それだけあれば、宅配ボックスなどを設置してもゆとりがあります。

また、玄関ポーチの階段は雨ざらしになっているので、雨や雪の日に滑らないように手すりの設置をおすすめします。

敷地にゆとりがあればゆるやかな階段にできます。

そうでない場合は1段が20cm弱になることが多いです。

小さなお子さんやお年寄りは通常でもつかまるところがないと大変です。

手すりは後付けにすると工事の手間と費用がかかるのではじめからあった方がいいでしょう。

庭づくり

庭付き一戸建てで暮らすのがはじめてという人も多いと思います。

家族に庭の手入れが苦にならない人がいれば花木を植えたり、芝生をしいたりするのもいいのですが、想像以上に手入れが大変です。

芝生はちょうどいいところで成長が止まるわけではないので、

伸びたら刈って草むしりもしなければならないので、庭仕事がかなり負担になることもあります。

花と緑に囲まれた庭にする前に手入れをどうするか家族と話し合うことをおすすめします。

予算が足りなくなる

住宅ローンの借入には限度額があるので、どうしても外構まで費用がまわらないということもあります。

しかし、敷地にポツンと家があって周囲が土のままというわけにはいかないです。

ゆとりができたら外構工事をしようということになっても、以下の3つだけはなんとか頑張ってやることをおすすめします。

予算が足りなくてもやる工事

・駐車場の舗装

・門柱と表札は設置

・土の部分に防草シートを敷く

駐車場の舗装

駐車スペースが土のままだと雨の日にぬかるんで来訪者の車や靴まで汚してしまいます。

砂利は費用が安く済みますが雑草は生えいます。

施工費用を抑えたい場合は一部だけをコンクリートにして砂利と併用する方法もあります。

門柱と表札は設置

門柱や表札がないと来訪者が戸惑ってしまいます。

インターホンやポストも必須です。

最近ではポスト、インターホン、表札などの機能をまとめて設置できる「機能性門柱」などがあります。

リーズナブルなものもあるので検討してみましょう。

土の部分に防草シートを敷く

道路との境界にフェンスや門柱などを設置しないオープン外構の家も多くみられますが、

庭が丸見えで雑草が生えっぱなしになっていると防犯上もよくありません。

最低でも防草シートは敷いておきましょう

後々、タイルなどにする場合は砂利を入れてしまうと処理費用がかかることもあるので注意しましょう。

まとめ

今回は外構工事の進め方がわからない人や外構工事で失敗したくない人に対して、

一級建築士がおおすすめする失敗しない外構工事の進め方と注意点をご紹介してきました。

まとめると以下になります。

外構工事の進め方と注意点

・いつ、どこに依頼すればいいの?
→建築する施工会社、外構専門業者、ホームセンター

・優先順位をはっきりさせる

→暮らしに必要な機能を備える

暮らし始める前に必要なもの

・駐車場の整備

・隣家との境界フェンス

・目隠しフェンス

・外灯

・表札

・インターホン

・ポスト

安全性と耐久性を重視した素材選び

・アプローチの素材
→インターロッキング、洗い出し、コンクリート枕木

・フェンスの素材

→スチールメッシュ、アルミ形材

・ウッドデッキ、縁台の素材

→樹脂木(人工木)

失敗しがちな外構工事の事例

・駐輪場

・玄関ポーチ

・庭づくり

・予算が足りなくなる

→駐車場の舗装、門柱と表札は設置、土の部分に防草シートを敷く工事は予算がなくてもやる

建物の設計段階である程度、外構工事を決めておけば予算配分を間違えることはなくなります。

外構工事までやって初めて注文住宅は完成します。

しっかりと設計段階で優先順位をはっきりさせ、外構工事で失敗して後悔しないようにしましょう。

この記事が少しでも外構工事の進め方で悩んでいる人のお役に立てれば幸いです。

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アーキトリック一級建築士事務所

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