【それは正式な相見積もりではない!】注文住宅での相見積もりの重要性

複数の施工会社から見積もりをとって比べるのって大変ですよね。
個人で相見積もりを取ろうとすると、各施工会社の建物の間取りや仕様が違っていたりして、
単に金額を比べればいいという話ではなくなってしまいます。
設計事務所が間に入ればそんな問題も起きないのですが…

設計事務所が間に入るとどう違うの?
まずは打合せに基づき希望する注文住宅を図面上で作り、それを実施設計で具体的にしていきます。
実施設計で作成した注文住宅の図面(説明書)を元に各施工会社に渡して見積もりをとるかたちになります。
同じ注文住宅の設計図面を元に見積もりを作るので、
金額のみを比べればどこが高いのか安いのかを一目瞭然で理解することができます。
私は設計事務所を開業して16年(2022年現在)になりますが、この方法以外の相見積もりは意味がないと考えています。
相見積もりの重要性は以下になります。
相見積もりの重要性
・ぼったくりを防ぐ
・予算オーバーが無くなる
・適正価格で工事費を安くできる
どれも注文住宅を建てる際に役立つことなので、しっかりと正式な相見積もりをとった方がメリットが大きいです。
ネット通販では価格.comなどであれほど金額についてシビアーになるのに、こと注文住宅になるとハウスメーカーや工務店のいいなりになっているお施主さんが多いのはおかしいと思います。
この記事を読むと以下のことがわかります。
この記事でわかること
・正式な相見積もりについて
・相見積もりで比較できること
・相見積もりの事前準備
・相見積もりの重要性
上記のようなことがわかります。
正式な相見積もりで比較すれば、各施工会社に適正な価格で工事をやってもらうことができます。
設計事務所に実施設計をお願いすると設計料が別途発生しますが、適正価格での工事金額になるので、設計料以上に安くなるケースも多いです。
ハウスメーカーや施工会社の担当者を信用しているからそんなにぼったくるなんてことないだろうと考えがちですが、
会社に所属している以上、所詮は施主はお客さんの1人にすぎません。
設計事務所は施主の唯一の味方になってくれる存在だということを忘れないようにしましょう。
【自己紹介】

Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を17年間(2023年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
設計事務所のブログを始めて2年目で月間25000PVを達成!
住宅に関する悩みを解決すべく、ブログやTwitterで情報発信しています。
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目次
それは正式な相見積もりではない!

複数の施工社から見積もりを取って金額を比較すれば相見積もりになると考えているならそれは間違いです。
その金額の比較に意味はないからです。
正式な相見積もりとは、同じ間取りや仕様の注文住宅の見積もりを比較するから意味があるのです。
正式な相見積もりにするには?
正式な相見積もりをするには設計事務所に依頼することが必要になります。
相見積もりを取るためには実施設計が必要であり、それを元に見積もりを作るから比較できるのであって、
実施設計をやってから見積もりを取らないと正式な相見積もりとはならないからです。
建物自体の間取りや仕様が異なる見積もりを比較してもただ高い安いの概算金額の比較になってしまいます。
実施設計をやっていれば、図面に記載された仕様や納まりなどの条件を揃えることができるため、工事金額の比較に意味が出てきます。
相見積もりで比較できること
相見積もりで比較できることは以下になります。
相見積もりで比較できること
・工事項目ごとの金額の比較
・拾ってある数量の比較
・メーカーからの仕入値の比較
工事項目ごとの金額の比較
相見積もりで比較できることは、同じ条件のもとで各施工会社の工事項目ごとの金額の高い安いが比較できます。
工事項目とは、基礎工事や外壁工事、内装工事などの工事を細かく分けた項目になります。
同じ条件のもとで工事項目ごとの金額が比較できれば、どの施工会社のどの工事項目が高いのかが一目瞭然でわかります。
各施工会社にも得意な工事と不得意な工事があるので金額にばらつきはあるのですが、大体同じ価格帯になることがほとんどです。
この工事項目で飛び抜けて高い金額を出してきたら、実施設計の理解不足か施工会社が金額を上乗せしている部分の可能性があります。
工事項目ごと比較されるのがわかっていると各施工会社は金額を明らかに上乗せすることができないため、適正な価格で工事をすることができるというメリットがあります。
拾ってある数量の比較
相見積もりで金額があまりにも違いすぎる工事項目は、拾ってある数量が間違えていることがよくあります。
公共工事の見積もりの場合は、設計事務所が数量を積算して施工会社は単価を打ち込むのでミスは少ないのですが、
民間の注文住宅では設計事務所は積算まではやらないことがほとんどです。
拾ってある数量の間違いがある場合は速やかに見積もりを作ってくれた施工会社に伝えましょう。
施工会社のミスとはいえ、間違えたまま工事が決まってしまうと後から追加工事が発生したり、施工会社がその工事をタダでしなければならなかったりするからです。
契約後のトラブルの原因になるので注意しましょう。
メーカーからの仕入値の比較
見積もり内容から以下のメーカー設備を抜き出し金額を見ると仕入値の比較ができます。
・ユニットバス
・システムキッチン
・サッシ
・給湯器(エコキュート)
・エアコン
これを設計価格と比較すると施工会社の仕入値の掛け率がわかります。
どのメーカーの設備が安いのかが分かれば、VE案を作るときにそのメーカーのものに揃えることで安くすることができます。
相見積もりを取る前に必要なこと

相見積もりを取る前に必要なことは以下の7つの項目になります。
相見積もりでの事前準備
①施工会社の会社情報を確認
②実施図面を揃える
③工事項目を揃える
④工事範囲の確認
⑤希望する予算総額を確認する
⑥工事期間を伝える
⑦見積書の提出期日を伝える
①施工会社の会社情報を確認
まずは見積もりを頼む施工会社の会社情報を確認しましょう。
会社情報は以下の情報を確認します。
・設立からの年数
・従業員数
・過去の実績
設立からの年数が長ければ、それだけ信頼できる会社だと思います。
従業員数ですが、住宅部門などを工事部から分けて少数精鋭でやっている会社もあります。
従業員数が多ければ会社組織の中での決定スピードが遅いなどのデメリットが考えられます。
また、過去の実績からどのような建築を作っているのか知ることができます。
住宅を年間で何棟建てているのかなどの情報も重要です。
住宅を多く建てているところであれば、メーカー製品などの仕入れ値が安くなりその分の値引きができます。
②実施図面を揃える
相見積もりをするためには実施設計図面を揃えましょう。
基本設計で作った配置図、平面図、立面図、断面図だけでは建築を作るための情報として不十分です。
少なくとも、仕様書、仕上表、天井伏図、建具表、家具図、設備図、構造図は必要になります。
素人では揃えられないので、設計事務所にお願いして作成してもらいましょう。
しっかりと相見積もりで建築工事費が安くなれば、設計事務所に支払う実施設計料金なんて安いものだと思います。
設計事務所に実施設計を頼む場合は工事を減額するためのVE案まで作ってもらうようにしましょう。
※VE案とは、「Value Engineering(バリューエンジニアリング)」の略で、性能や価値を下げずにコストを抑えることである。
③工事項目を揃える
相見積もりをすると施工会社の見積もりの書式によって工事項目が違かったりして比較しずらいです。
工事項目を揃えるために見積もりを頼む施工会社にリストを渡しましょう。
工事項目のリストは以下のようなもので十分だと思います。
工事項目 | |
① | 直接仮設工事 |
② | 共通仮設工事 |
③ | 基礎工事 |
④ | 木工事 |
⑤ | 屋根工事 |
⑥ | 外壁工事 |
⑦ | タイル工事 |
⑧ | 金属製建具工事 |
⑨ | 木製建具工事 |
⑩ | 塗装工事 |
⑪ | 内装工事 |
⑫ | 家具工事 |
⑬ | 防蟻処理 |
⑭ | 設備工事 |
⑮ | 外構工事 |
⑯ | 諸経費 |
⑰ | 調整値引き |
上記の工事項目以外に解体工事や地盤改良などが必要な場合は項目として含めるましょう。
工事項目を揃えれば各社から取った見積もりをエクセルで入力し簡単に比較することができます。
④工事範囲の確認
相見積もりを取る前に工事項目に含まれる工事範囲を確認する必要があります。
例えば、玄関までのアプローチまでタイルを敷く場合など、タイル工事に含めるのか外構工事に含めるのか迷ってしまう場合があります。
玄関タイルはタイル工事にアプローチのタイルは外構工事に含めるなどしっかりと工事範囲を確認しておきましょう。
⑤希望する予算総額を確認する
相見積もりを取る前に希望する予算総額を確認しておきましょう。
設計事務所に注文住宅を頼むと設計価格でおおよその建築工事金額が分かります。
希望する予算総額やこの建築工事にいくらまで出せるのかのを確認しておくと、
相見積もりで出た金額が予算内なのかどうかを判断することができます。
希望する予算総額を施工会社に伝えるのはあまりお勧めではありません。
施工会社が見積もりを調整して少し高い金額で合わせてくる場合があるからです。
伝えるのであれば、予算総額より安い金額を伝えましょう。
⑥工事期間を伝える
相見積もりをお願いするときに工事期間をしっかりと伝えましょう。
もちろん、どのくらい建築工事がかかるのか素人ではわからないのですがいつまでに入居したい旨を伝えるだけでも構わないです。
施工会社は工事期間が短ければ、大工の人数を増やして間に合わることができますが、人数が増える分かかる人工が増えるため工事費用が割高になります。
適切な工事費にするためには、工事期間はある程度余裕を持っておき、施工会社の都合を優先した方がいいと思います。
⑦見積書の提出期日を伝える
相見積もりをお願いするときに見積書の提出期日を伝えましょう。
提出期日を揃えることで、施工会社がどれだけ真剣に見積書を作ってきてくれるのか判断することができます。
見積書を見ればこの工事にかける意気込みがわかります。
質疑を受け付ける期間もしっかりと伝えましょう。
質疑に対する応答書も相見積もりを頼んだ各社に期日までにメールしましょう。
大体ですが、見積もり期間は全体で2〜3週間程度、質疑を受け付ける期間は見積もりを初めて1週間から10日までとする場合が多いです。
相見積もりの重要性

相見積もりの重要性は以下になります。
相見積もりの重要性
・ぼったくりを防ぐ
・予算オーバーが無くなる
・適正価格で工事費を安くできる
ぼったくりを防ぐ
相見積もりの重要性は、ぼったくりを防ぐことです。
見積もりを依頼する施工会社には他社のことを知らせないので、競合がどこなのかわからない状態で見積もりを作ることになります。
さらに工事項目ごとに金額を比較されることになるので、あまり金額が飛び抜けてしまうと選定から外される危険性があるためです。
必然的に適正金額にちょっと利益を乗っけたくらいの工事金額になる場合が多いです。
例えば、一社しか見積もりを取らない場合は適正価格がいくらなのかわからないので、値引き交渉することがとても難しいです。
相見積もりを取れば、他社の安い金額が根拠になり交渉材料とすることができるため、値引き交渉しやすくなります。
予算オーバーが無くなる
相見積もりの重要性は、予算オーバーが無くなることです。
金額が大きくなってしまった工事項目ごとに、工法や仕様を変更したVE案を作成することで予算に合わせることができるからです。
※VE案とは、「Value Engineering(バリューエンジニアリング)」の略で、性能や価値を下げずにコストを抑えることである。
例えば、外壁工事の金額が大きくなってしまった場合は耐用年数を考えグレードを下げたり、
設備工事の金額が大きくなってしまった場合はシステムキッチンやユニットバスのオプションを省いたり、
様々なVE案の方法を考えることができます。
しかしながら、以下の場合はVE案で解決できないこと多いので注意しましょう。
・予期できない追加工事が発生した
・契約後の追加変更
・外構工事を含めていなかった
工事する前にしっかりと現地調査を行い、契約するまでにしっかりと工事範囲や仕様を決定する必要があります。
適正価格で工事費を安くできる
相見積もりの重要性は、適正価格で工事費を安くすることができることです。
相見積もりは工事項目ごと見積もり価格を比較するので、各社ごと適正な価格で金額を合わせてもらう交渉材料になります。
相見積により適正価格の根拠があるために建設会社は大きな利益を乗っけた金額の提示ができません。
(逆に値引きをする際にも適正価格がわかってしまう分、大きくそれた値引き交渉はできなくなります。)
住宅の工事は着工してからの追加変更がどうしても出てきます。
予算を削りすぎて変更や融通がきかないより、着工時は予算を少し多めに取り最終的に値引きしてもらった方がいい場合もあります。
まとめ

今回は正式な相見積もりを取りたい人や相見積もりの取り方がわからない人に対して、
注文住宅での相見積もりの重要性と相見積もりを取るために必要なことをご紹介してきました。
まとめると以下になります。
■実施設計をやってから見積もりを取らないと正式な相見積もりとはならない
相見積もりで比較できること
・工事項目ごとの金額の比較
・拾ってある数量の比較
・メーカーからの仕入値の比較
相見積もりでの事前準備
①施工会社の会社情報を確認
②実施図面を揃える
③工事項目を揃える
④工事範囲の確認
⑤希望する予算総額を確認する
⑥工事期間を伝える
⑦見積書の提出期日を伝える
相見積もりの重要性
・ぼったくりを防ぐ
・予算オーバーが無くなる
・適正価格で工事費を安くできる
正式な相見積もりで比較すれば、各施工会社に適正な価格で工事をやってもらうことができます。
設計事務所に実施設計をお願いすると設計料が別途発生しますが、適正価格での工事金額になるので、設計料以上に安くなるケースも多いです。
ハウスメーカーや施工会社の担当者を信用しているからそんなにぼったくるなんてことないだろうと考えがちですが、
会社に所属している以上、所詮は施主はお客さんの1人にすぎません。
設計事務所は施主の唯一の味方になってくれる存在だということを忘れないようにしましょう。
この記事で正式な相見積もりをとり、適正な価格で注文住宅を建てる人が少しでも増えてくれれば幸いです。
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