既存不適格の増築にエキスパンジョイントを設置するメリット

大型建築物の内外をよく見て歩くと、必ずといっていいほどどこかにエキスパンジョイント(Exp.J)を見つけることができます。

例えば…外壁に縦に走る金属板の帯や内部廊下の床、壁、天井の4辺をぐるりと輪切りにするような金属板の帯など…

エキスパンジョイントで
増築するメリットってなに?

エキスパンジョイント(Expansion Joint=Exp.J)とは日本語で言うと「伸縮繋ぎ手」と訳され、伸びちじみする繋ぎ手のことをいいます。

このエキスパンジョイント(Exp.J)を用いて建築物を増築する場合、様々な構造的なメリットがあります。

今回はエキスパンジョイント(Exp.J)を用いて増築する場合のメリットをみていきたいと思います。

エキスパンジョイントのメリット

エキスパンジョイントのメリット
外部参考納まり例 出典:ABC商会
内部参考納まり例 出典:ABC商会

下記の状況においてエキスパンジョイント(Exp.J)を用いる場合はメリットがあります。

・異なった性状の構造体同士の接続
・地震、温度変化による伸縮
・地盤が不均一な不同沈下
・様々な外力を受ける

上記の場合に損壊を最小限に抑える役割を持つ一般的な建築金物の一種です。

クリアランスと雨仕舞

エキスパンジョイント(Exp.J)は、地震の時など建物がどのように動くのかをしっかりと理解して、建物同士の「クリアランス」を構造計算をもとに設計段階で判断して決めます。

東日本大震災以降、「クリアランス」は拡大傾向にあります。

例えば、構造計算上は、確保すべき変形追従量が建物高さの100分の1でよい場合でも、実際の設計ではその2倍の50分の1とするように、あえて「クリアランス」を大きく取ることが慣習化しつつあります。

「クリアランス」が大きくなると雨漏りにも注意が必要となります。エキスパンジョイント(Exp.J)の下に「受け樋」を入れるなどの雨仕舞が不可欠となります。

また、スラブの水勾配をエキスパンジョイント(Exp.J)に向かわないようにするなどの配慮も必要です。

既存不適格の建築物とは

既存不適格の建築物とは建築完成時の「旧法・旧規定の基準で合法に立てられた建築物」であって、その後法令の改正や都市計画変更などにより、現行法に対して不適合な部分が生じた建築物のことをいいます。

建築完成時の確認申請書類や検査済証などが残っていればいいのですが、旅館など増築を重ねた古い建物の場合は検査済証が残っていないケースが多いです。

また既存不適格ならまだ法的に手続きを行えば増築は可能なのですが、そもそもが違反建築物であった場合は原則として増改築が認められていないので、お手上げになってしまいます。

違反建築物かの確認方法

・確認申請書、検査済証の有無
・確認申請書と登記簿や現状とで面積、形状、用途などに相違はないか

などで違法建築物ではないことを証明しなければなりません。

違反建築物は増改築できない

国土交通省は2014年7月2日に、「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合調査のためのガイドライン」を公表しました。

これは検査済証のない建築物について建築基準法に適合しているかどうか調査するための手順を示したもので、既存建築ストックの増改築や用途変更をし有効活用するために作られたガイドラインです。

このガイドラインにより既存不適格と違反建築物がしっかりと区別されます。

違反建築物は特定行政庁による厳しい措置が定められています。建築途中であれば工事停止命令が出される場合もあるほか、その完成後であれば建物の除却や使用禁止措置の命令、強制執行、電気・ガス・水道の供給停止措置などがあります。

すでに人が住み始めてしまった住宅などの場合は強制的な措置がなされることはめったになく、ほとんどの場合は黙認されます。

しかしながら、違反建築物の増改築工事や大規模リフォーム、リノベーションなどを自由に行うことはできなくなります。

既存不適格の増築について

既存不適格の建築物の増築について問題となるのは構造計算を必要とするかしないかだと思います。

既存の建物も含めての構造計算は構造計算図書が残っていればいいのですが、たいていはない場合が多いです。

構造計算図書があった場合でも壁は仕上げられているので実際にどのような構造になっているのかや柱梁の接合状況など壁を壊して調べる必要があったりするのでとても大変です。

そんな時によくやるのは既存不適格部分と増築部分とをエキスパンジョイント(Exp.J)でつなげる方法です。

増築にエキスパンジョイント

増築にエキスパンジョイント

①は増築部分の延べ床面積が50㎡以下でかつ、既存不適格部分の延べ床面積Aの1/20以下の時で、現行基準に適合しなくてもよいケースとなります。

増築前の状態より危険性が増大しないことが確認できれば既存部分に現行基準は適応されません。

具体的にはAとBをエクスパンジョイント(Exp.J)で接続したり、その他は「全体計画認定に係るガイドライン」などでの検証が必要となります。

③は増築部分の延べ床面積が既存不適格部分の延べ床面積Aの1/2以下で、かつ、増築部分が既存不適格部分に対して、エキスパンションジョイント(Exp.J)で接続するケースです。

この場合、Aの既存不適格部分の検査済証で耐震診断基準、又は新耐震基準に適合していることが確認できれば構造計算は不要になります。

Bに関しては耐震診断基準に適合することは必要です。

まとめ

既存不適格の増築にはエキスパンションジョイント(Exp.J)で接続すると許容応力度等計算や構造計算書が不要となるなどのメリットがあります。

しかしながらこのメリットを利用するためには下記に注意することが必要となります。

まずは既存不適格か違反建築物の判断をする
・確認申請書、検査済証の有無
・確認申請書と登記簿や現状との相違

既存不適格の増築の注意点
・増築部分の延べ床面積が50㎡以下でかつ、既存不適格部分の延べ床面積Aの1/20以下

・増築部分の延べ床面積が既存不適格部分の延べ床面積Aの1/2以下でかつ、エキスパンションジョイント(Exp.J)で接続と確認申請書、検査済証の有無

などの注意が必要となります。

既存不適格建築物の増築はとても難しいので、まちづくりセンターや建築指導課などでしっかりと相談することをおすすめします。

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