平屋で中庭のある間取りを作るなら東向きと西向きどっちがいいの?

平屋の間取りを考える時、どうしても細長い廊下ができてしまい北側の部屋の採光が取れないケースが多々あります。

南北に細長い間取りの場合、南側には家族の空間であるリビングを配置すると北側に部屋を作ることになります。

北側の部屋の採光を取るために中央に中庭を作る間取りを考えるのですが、東向きと西向きどっちがいいの?という質問がとても多いです。

結論から言ってしまうと、どちらでもいいと思います。

ただし、東向きと西向きのどちらの中庭を作る際にも注意しておいたほうがいいポイントがあります。

今回は東向きと西向きの中庭を作る際の注意点をご紹介できればと思います。

【自己紹介】

Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所

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平屋の中庭は奥行きをとる

冬至の日射

平屋の中央につくる中庭は奥行きをある程度とった方が冬の日射取得が多くなり暖かな室内空間になります。

上の図は中庭の奥行きの違いによる冬至の日差しを表しています。

中庭の奥行きをとった方が日射取得が多くなります。

北側に部屋があっても日差しを取込める中庭の奥行きは平屋の場合、最低でも2間(3640mm)は欲しいところです。

しっかりと中庭から自然光を取り入れたい場合は東向きや西向きに限らずしっかりと奥行きをとるようにしましょう。

東向きの中庭は庇の出が重要

夏至の日射

上の図は庇の出の違いによる夏至の日差しを表しています。

庇の出が150mmの場合、夏の強い日差しが室内に入り込んでしまい、外壁も日差しが当たってしまいます。

庇の出が455mm以上で開口部の取付ける位置(開口部上端から軒天までの高さ)にもよるのですが、室内に日差しが入ってこなくなります。

しかしながら建物の外皮には日差しがあたるので、基礎や床の断熱性能が高くしないと室内に熱を取込んでしまいます。

建物への日射遮蔽を考えると庇の出は455~910以上は必要だと思います。

西向きの中庭は日射遮蔽が必要

一般に西日は嫌われがちなのですが、西日が厳しいのは夏の7月,8月,9月の約3ヶ月の間だけです。

冬場の日射取得を考えると西向きの中庭からの日差しを有効に取り入れたほうが夕方からの暖房負荷を減らすことが出来ます。

夏の日差しは東向きの中庭と違い庇をいくら出してもさえぎることが出来ません。

そこで、必要になるのが日射遮蔽です。

日差しを8割カットできるアウターシェードやスライディングシャッターが必要になります。

YKKap/アウターシェード

室内に設ける遮光カーテンやブラインドでもいいのですが、カーテンやブラインド自体に日差しがあたり熱くなってしまいます。

結果として室内に熱を放出してしまうためにあまりおすすめではありません。

平屋の中庭のメリットとデメリット

そもそも平屋で中庭のある家にはどのようなメリットとデメリットがあるのか考えてみます。

一般的な中庭についてのメリット・デメリットと注意点についてはこちらをご覧ください↓

平屋で中庭のある家の代表的なメリットは以下の通りです。

メリット

北側でも採光が取れる

プライベートな庭を確保できる

風通しがよい

最近の高気密高断熱の住宅では風通しに関してあまり重要視されません。夏場の湿気を含んだ暖かい空気を取込むのはあまりよくないのも事実です。

しかしながら、北側に部屋を設ける場合には日射取得の観点から中庭を設けたほうが採光が取れるのでいいと思います。

平屋で中庭のある家の代表的なデメリットは以下の通りです。

デメリット

外皮面積が多くなる

出隅や入り隅などの凹凸ができる

建築コストが高くなる

正直なところ、温熱環境や建築コストを考えると中庭のある家はデメリットが多いです。

そもそも平屋の場合、外皮面積、基礎面積、屋根面積は多くなります。

日射熱の影響が大きくなるので、断熱性能を高くしなければなりません。

また、出隅や入り隅などの凹凸が多くなることで、コーナー部材の数量も多くなります。

サイディングのコーキング箇所も増えるので、結果として建築コストや維持管理費が高くなります。

まとめ

今回は平屋の中庭について東向きと西向きのどちらがいいのかみてきたわけですが、設計する上での注意点をもう一度確認します。

■平屋の中庭
中庭に奥行きをとる


■東向きの中庭
庇の出に注意する

■西向きの中庭
アウターシェードやスライディングシャッターを設ける

平屋で中庭を作ろうとするとデメリットもあるのですが・・・

中庭のあることで四季を感じられたり、北側の部屋でも自然光が取れること、ゴミ置き場やDIYなどのサービスヤードとしてプライベートな空間が出来たりします。

土地に余裕のある場合に限らず、細長い狭小間口の家などは積極的に中庭を作ったほうがいいと思います。

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