住宅作家ってどんな人?建築家として住宅を作るなら知っておきたい住宅作家8名

住宅を設計することが好きであれば、住宅作家を目指すことをお勧めします。

住宅作家ってどんな人なの?

住宅作家とは、個人住宅の設計に主に携わっている建築家のことを指します。

建築家としての仕事は、主として美術館や公共施設といった大規模建造物が目立ちますが、

大型の建築物の知識や経験があっても個人住宅を作るときにはまた違った知識や経験が必要になります。

住宅作家と呼ばれる建築家は個人住宅を作ることに特化したノウハウを持っているので、

注文住宅を建築家に設計してもらいたいと思うのであれば、住宅作家に仕事を依頼した方がいいと多います。

今回の対象者は以下の人たちに向けて記事を書いています。

この記事の対象者

▶︎建築家として住宅を作りたい人

▶︎住宅作家ってどんな人がいるか知りたい人

上記の方々に対して、建築家として住宅を作るなら知っておきたい住宅作家を8名ご紹介します。

この記事で少しでも建築家として住宅作家を目指す人のお役にたてれば幸いです。

【自己紹介】

Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所

設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。

店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。

現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。

設計事務所のブログを始めて2年目で月間25000PVを達成!

住宅に関する悩みを解決すべく、ブログやTwitterで情報発信しています。

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役立つ情報をみんなで共有できるような書き込みは大歓迎です。

知っておきたい住宅作家8名

知っておきたい住宅作家8名は以下の方々になります。

清家清(せいけ きよし)

清家清(せいけ きよし)

略歴

1918年12月13日京都府京都市生まれ
→2005年4月8日(86歳没)
1941年東京美術学校(現東京藝術大学)を卒業
1943年東京工業大学を卒業
1962年東京工業大学の教授になる
清家清研究室の門下生として、林昌二、林雅子、篠原一男らが門下生

戦後すぐに「森博士の家」を発表し、同じ50年代に発表された、

・池辺陽の「立体最小限住宅」
・増沢洵の「最小限住宅」
・広瀬鎌二の「SHシリーズ」

と共に機能主義による都市住宅のプロトタイプを提案し、

住宅をはじめとする明瞭で軽快な作品で日本の伝統的モダン美を独自の解釈ではじめて形にした。

代表作品

森博士の家 (1951)

私の家 (1954)

九州工業大学記念講堂 (1960)

吉村順三(よしむら じゅんぞう)

吉村順三(よしむら じゅんぞう)

略歴

1908年9月7日東京市本所区生まれ
→1997年4月11日(88歳没)
1931年東京美術学校(現東京藝術大学)を卒業
卒業後はアントニン・レーモンドに師事
1941年吉村順三設計事務所を開設
1945年東京美術学校の助教授になる
1962年東京美術学校の教授になる

多くの和風と近代様式を折衷したモダニズム住宅を多く手掛けたことで知られています。

吉村順三が手掛けた住宅は、今も住み続けられているものが多いです。

軽井沢にある自身の別荘「軽井沢の山荘」はとても有名です。

代表作品

軽井沢の山荘(1962)

脇田美術館アトリエ山荘(1970)

田園調布猪熊邸(1971)

宮脇檀(みやわき まゆみ)

宮脇檀(みやわき まゆみ)

略歴

1936年2月26日愛知県名古屋市生まれ
→1998年10月21日(62歳没)
1959年東京藝術大学を卒業
担当教授は岡田捷五郎、吉田五十八、吉村順三
1961年東京大学大学院を修了
高山英華研究室に所属
1964年宮脇檀建築研究所を設立

代表的な建築作品に打放しコンクリートの箱型構造と木の架構を組み合わせたボックスシリーズがあり、

「松川ボックス」は1979年に第31回日本建築学会賞作品賞を受賞した。

また住宅地の全体計画においては単体の住宅ではなく、

・その集合の在り方
・街並みとしての景観の作り方
・コミュニティーの在り方
・車と歩行者の共存

を考え、クルドサック、ボンエルフなどの考え方を取り入れた。

住宅設計の第一人者、宮脇檀と研究室が、20年の設計の軌跡をまとめた本「宮脇檀の住宅設計テキスト」が発売されています↓

宮脇檀の住宅設計テキスト

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¥3,190


住宅設計はいかに進めるべきか?

いま住宅に何が求められているか?

住まいの考え方、手法、技術、ディテールのすべてを公開しています。

ハンディな普及版としてまとめた住宅・住まいの様々な提案を通して語る“住”のテキストです。

代表作品

もうびいでぃっく(1966)

ブルーボックスハウス(1971)

松川ボックス(1971)

中村好文(なかむら よしふみ)

中村好文(なかむら よしふみ)

略歴

1948年千葉県生まれ
→74歳(2022年現在)
1972年武蔵野美術大学を卒業
1976年から1980年まで吉村順三設計事務所に勤務
1981年レミングハウスを設立
1987年三谷さんの家で第1回吉岡賞受賞

吉村順三設計事務所に勤務されたキャリアからも明らかなように、吉村順三に影響を受けたデザインです。

自然素材を使った、落ち着く空間設計をされています。

「古びたときに美しくなる素材」は時が経つにつれて、いい意味で味になる

落ち着いた、いい年の取り方のできる家をつくることを目指しています。

また、吉村順三設計事務所では家具製作のアシスタントを務めていたことから、

ひとつひとつの造作家具に対して細かな配慮がなされ、オリジナルのデザインを確立しています。

書籍もたくさん出しています↓

ちくま文庫/普段着の住宅術

ちくま文庫/普段着の住宅術
¥968

「普段着の住宅術」は住む人の暮らしにしっくりとなじむ、居心地のよい住宅とは?

ジーンズのような住宅づくりで定評のある著者の住宅読本となっています。

代表作品

三谷さんの家(1987)

Lemm Hut(2005)

伊丹十三記念館(2007)

伊礼智(いれい さとし)

伊礼智(いれい さとし)

略歴

1959年沖縄県嘉手納町生まれ
→62歳(2022年現在)
1982年琉球大学を卒業
1985年東京芸術大学大学院を修了
奥村昭雄研究室に所属
1996年伊礼智設計室を開設
2018年から共立女子大学非常勤講師
2006年「9坪の家」でエコビルド賞受賞
2007年「町角の家」でエコビルド賞受賞
2013年「i-works project」でグッドデザイン賞

自然素材を使った素材感ある住宅を設計している住宅作家です。

「誰もが心地よいと思える、小さくても豊かに暮らすことのできる家を手が届く価格で」というポリシーを持って設計活動されています。

素材感のある年月を経るごとに味の出る上質な素材を使いながらも、小さくすることで総費用をおさえつつ、

それでいて設計力で小さいながらも豊かに暮らすことのできる家を作ることを目指しています。

他にも、外構にもこだわり、周囲に緑を入れることで緑豊かな自然を取り込んだ家づくりなどを考えています。

設計者の系譜としては建築家・丸谷博男さんの流れを汲んでいます。

丸谷博男さんはOMソーラーの開発者・奥村昭雄さんの研究室・アトリエにて設計を学んでいますので、

「吉村順三さん→奥村昭雄さん→丸谷博男さん→伊礼智さん」

という設計思想の流れになります。

代表作品

9坪の家(2006)

町角の家(2007)

i-works project(2013)

堀部安嗣(ほりべ やすし)

堀部安嗣(ほりべ やすし)

略歴

1967年神奈川県横浜市鶴見区生まれ
→55歳(2022年現在)
1990年筑波大学を卒業
1994年堀部安嗣建築設計事務所を開設
2002年「牛久のギャラリー」で賞吉岡賞受賞
2007年から京都造形芸術大学大学院教授

壁や天井に漆喰というピュアな自然素材を多用しています。

禅的な雰囲気の住宅を設計される人気の住宅作家・建築家です。

端正、静寂、禅的な雰囲気。

堀部さんの設計した建築物に共通する感覚です。

石といった素材感のあるものを多用し、また、壁や天井に漆喰といったピュアな自然素材の左官塗り壁をよく使われます。

設計者の系譜としては建築家・益子義弘さんの流れを汲んでいます。

益子義弘さんは吉村順三さんに師事なさっていますので、

「吉村順三さん→益子義弘さん→堀部安嗣さん」

という設計思想の流れになります。

代表作品

南の家(1995)

牛久のギャラリー(2001)

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竹林寺納骨堂(2016)

横内敏人(よこうち としひと)

横内敏人(よこうち としひと)

略歴

1954年12月23日山梨県甲府市生まれ
→68歳(2022年現在)
1978年東京芸術大学を卒業
1980年マサチューセッツ工科大学大学院を修了
前川國男建築設計事務所での勤務
1991年横内敏人建築設計事務所を設立
1992年山梨建築文化賞
2002年日本建築学会北陸建築文化賞
2008年京都府文化賞(功労賞)

拠点が京都にあるということもあり、京都っぽい、日本的なもの、家と庭との一体がポイントになる人気の住宅作家・建築家です。

横内さんの設計・建築思想については「日本的なもの」「家と庭の一体」「開口部」がキーポイントです。

横内さんの設計する住宅によく用いられている素材としては「鉄平石の床」「葦の天井(ヨシベニヤ)」があります。

日本の伝統的な素材である鉄平石を床に貼り、天井は数寄屋に用いられる素材である葦を貼る。

そんな日本的なものを重要視しながら、また、家と庭との一体を大切にされています。

そして、庭とのつながりをつくる開口部(窓)です。

設計者の系譜としては建築家・前川國男さんの流れを汲んでいます

「フランク・ロイド・ライト→天野太郎さん→横内敏人さん」

「アントニン・レーモンド→前川國男さん→横内敏人さん」

という流れになります。

代表作品

若王子の家(1992)

奥庭の家(2004)

筑波の家(2017)

泉幸甫(いずみ こうすけ)

泉幸甫(いずみ こうすけ)

略歴

1947年熊本県生まれ
→75歳(2022年現在)
1971年日本大学を卒業
1973年日本大学大学院を修了
同大学助手を経てアトリエR勤務
1977年堀泉幸甫建築研究所を設立
1987年「平塚の家」で神奈川県建築コンクール優秀賞受賞
1999年「Apartment 傳(でん)」で東京建築賞最優秀賞受賞
2004年「Apartment 鶉(じゅん)」で日本建築学会賞作品選奨受賞
2009年「草加せんべいの庭」で草加まちなみ景観賞受賞
2012年「桑名の家」で三重県建築賞田村賞受賞
2014年校長を務める「家づくり学校」が日本建築学会教育賞を受賞

泉幸甫さんの仕上げは完璧に伝統的というわけでもなく、完全に現代的というわけでもない、

伝統的から少しずらしたような仕上げや、土塗り壁仕上げといった地域の材料を使っています。

街並みに溶け込んだ設計に配慮して活動されています。

代表作品

平塚の家(1987)

Apartment 傳/でん(1998)

而邸/自邸(2008)

まとめ

今回は建築家として住宅を作りたい人や住宅作家ってどんな人がいるか知りたい人に対して、

建築家として住宅を作るなら知っておきたい住宅作家を8名ご紹介してきました。

まとめると以下になります。

住宅作家としてデビューするにはそれなりの賞を取らないと有名にはなれないと思います。

しかしながら、受賞歴がなくてもいい住宅を作る住宅作家はたくさんいます。

住宅を作ることは建築家にとっては一番の勉強になります。

どんなに成功した建築家でも住宅の設計から初める人は多いです。

住宅を設計することが好きであれば、住宅作家を目指しましょう。

この記事で少しでも建築家として住宅作家を目指す人のお役にたてれば幸いです。

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