注文住宅でも旅館のような非日常を演出できる?演出のための照明計画について

私が店舗設計事務所にいた頃、伊豆の旅館のリノベーションを数多くやってきました。

そんな旅館のリノベーションで特に重要なのは、照明により非日常の雰囲気を演出することです。

旅館もそうですが店舗設計には照明計画がとても重要なのですが…

店舗設計事務所にいた頃は照明計画を自分で行えるようになるまでにとても苦労した記憶があります。

そんな苦労して覚えた甲斐もあり、今では照明計画が得意なのことの一つです。

店舗設計で覚えた照明計画の知識は、注文住宅を設計する時にもとても役に立っています。

注文住宅でも旅館のような非日常を演出できるの?

注文住宅でもしっかりと照明計画をすれば、旅館のような非日常を演出することができます。

照明計画といってもコツさえつかんでしまえば簡単です。

設計事務所では注文住宅の照明計画は設備設計やメーカーに頼むことが多いのですが、

しっかりと理解すれば自分の思い通りの照明計画をすることができます。

今回は注文住宅で旅館のような非日常を演出したい人に、演出のための照明計画について紹介します。

この記事が照明計画をしっかりとして旅館のような非日常を演出できる手助けになってくれれば幸いです。

【自己紹介】

Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所

設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。

店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。

現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。

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演出のための照明計画

演出のための照明計画で重要なのは以下の事柄になります。

・間接照明の作り方
・暗さを楽しむ
・均一な明るさは求めない


どれも演出のために必要な知識や心構えになります。

間接照明の作り方

間接照明の作り方に関して専門的な事柄になりますが、間接照明の基本的なことになるのでしっかりと理解しておきましょう。

照明を調べる

間接照明で使う照明器具の情報をカタログなので調べて知っておきましょう。

調べる情報は以下になります。

・幅と高さを確認
・器具の長さ
・調光調色の有無

上の図はオーデリックのLC-FREE/OL291 229(〜226)Rという照明器具の情報になります。

この照明器具で知っておきたいことは、

・器具のサイズは横幅36mm、高さ40mm
・器具の長さは600〜1,500mmまでの種類
・この照明器具は調光と調色ができる

間接照明を作る際の基本情報になるのでしっかりと調べて確認しておきましょう。

間接照明の4つの作法

間接照明を作るために以下の4つの作法を覚えておきましょう。

間接照明の4つの作法

①開口寸法を150mm以上

②幕板寸法を器具+5mm

③造作内部の仕上げ

④器具を突合せ施工

上の図で「開口」と「幕板」、「造作内部の仕上げ」、「器具突合せ部分」の箇所納め方の作法になります。

①開口寸法を150mm以上にするのは照明器具の取替え時に手が入ることの配慮がひつようだからです。

LEDの照明器具も長年使えば徐々に暗くなり器具ごと交換が必要な場合も出てきます。

②幕板寸法を器具+5mmにするのは照明器具が外から見えないでかつ光の広がりを遮らないための寸法になります。

幕板寸法が大きすぎると幕板の影によって不自然な光の境目(カットオフライン)ができてしまいます。

③造作内部の仕上げは図の赤い部分の仕上げを下地のままではなく、クロスなどでしっかりと仕上げることが必要です。

下地のままだと天井や壁にあたる光が下地の色の影響で変化してしまいます。

④器具を突合せ施工とは器具と器具の間に隙間をつくらないで突合せて設置することが必要です。

器具の間に隙間をつくってしまうと光が途切れて連続的な間接照明でなくなってしまいます。

天井と壁の間接照明

間接照明は天井を照らすのか壁を照らすのかで呼び方が違ってきます。(上の図を参照)

・天井の間接照明→コーブ照明
・壁の間接照明→コニース照明


天井に間接照明の光をあてて部屋全体を柔らかな明かりで照らしたい場合はコーブ照明

壁の素材をエコカラットなど素材感のあるものに変えたのでアクセントとして壁を強調したい場合はコニース照明

などの使い分けましょう。

家具下の間接照明

家具下などに照明器具を配置する場合には以下のことに注意しましょう。

・家具の幅の1/3以上の器具
・床がつや有りは器具を横向き


家具の幅が1800mmの場合は照明器具の長さは600mm以上が必要になります。

また床の仕上がりがつや有りの場合は照明器具を横向きに設置して器具の写り込みや光の反射などをあまり目立たせない配慮が必要となります。

暗さを楽しむ

演出のための照明計画では暗さを雰囲気として楽しむ心構えが必要です。

当たり前ですが、照明で効果的に演出するには暗さがないと照明器具のあかりが引き立たないです。

部屋を全体的に暗くし間接照明などで効果的にあかりを演出することが非日常を演出するためには必要となります。

均一な明るさは求めない

演出のための照明計画では均一な明るさを求めない心構えも必要です。

ダウンライトなどで部屋を均一な明るさにしてしまうと旅館のような雰囲気が演出できないです。

手元を明るくするにはフロアスタンドなどで部分的に照らすことを心がけましょう。

調光などでベース照明の明るさをコントロールすることも必要になります。

注文住宅での照明計画の注意点

注文住宅は旅館ではないので演出のための照明計画の他に実用的な照明計画も必要になります。

私が店舗設計をしている感覚でつくってしまい後で後悔したことや注意点は以下になります。

・適切や照度と色温度
・過度な照明は不要
・リビングライコンについて

適切な照度と色温度

注文住宅では日常と非日常の両方の照明計画が必要です。

日常の照明計画は適切な照度と色温度の設定が必要になります。

リビング、ダイニング、キッチン、寝室、廊下などの場所によって照明計画をする必要があります。

具体的な照明計画についてはこちらをご参照ください↓

過度な照明は不要

注文住宅の場合は過度な照明は不要だと思います。

過度な照明器具を付けてもはあまり使われない場合が多いからです。

旅館のような非日常を演出する場所はリビングや寝室、玄関だけにするなど場所を限定するようにしましょう。

私の失敗例ですが、事務所兼住宅には過度な照明器具をつけてしまいあまり使わないので少し後悔しています。

注文住宅の場合はお金をかければいくらでも旅館のような照明演出はできますが、

果たしてそれを使う頻度はどれくらいになるのかをしっかりと考えてから照明計画をするようにしましょう。

リビングライコンの設置

リビングライコンとは記憶機能付の多回路ライトコントロールのことです。

スイッチやコントローラーが多くなってしまったらリビングライコンの設置を検討する必要があります。

これがあると、ボタン一つ押すだけで照明演出のシーンを変えることが可能になります。

演出のための照明計画をするとどうしても調光調色コントローラーやスイッチなどが多くなってしまいます。

リビングライコンを設置すると簡単な操作で照明演出のシーンを変えられるのでとても便利なのでおすすめの設備です。

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まとめ

今回は注文住宅で旅館のような非日常を演出したい人に、演出のための照明計画について紹介します。

まとめると以下になります。

■演出のための照明計画
・間接照明の作り方
・暗さを楽しむ
・均一な明るさは求めない

間接照明の4つの作法

照明を調べる

②幕板寸法を器具+5mm

③造作内部の仕上げ

④器具を突合せ施工

■注文住宅での照明計画の注意点
・適切な照度と色温度
・過度な照明は不要
・リビングライコンの設置

旅館のような非日常の雰囲気を感じられる空間があると家にいながら日頃のストレスから解放されてリラックスすることができます。

また食後にリビングでくつろぐ時間や、子供が部屋に行ってからリビングをバーのように演出して晩酌をしたりと色々と楽しい暮らし方ができます。

ぜひ演出のための照明計画を自分のものにして自分好みの照明演出を楽しみましょう。

この記事が照明計画をしっかりとして旅館のような非日常を演出できる手助けになってくれれば幸いです。

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